第4話

心理学の授業が始まる前、隣から声がした。


ここ座ってもいい?       どうぞ。


授業が終わった頃


「この間はありがとう。ほんの気持ちなんですけど...」


受け取ったのはコーヒーだった。

その時に初めて相手の顔を見たのかもしれない。

松葉杖をしてなかったから分からなかった。

腕にグリーンのブレスレットをしていた、あの男の子だ。


『最初に気がつかなくてごめんなさい。

わたしは森心桜。コーヒーありがとうございます。

なんか気遣わせて悪かったですね。』


「全然です。2年の仁科葵にしなまもるよろしく。

この後って授業入ってますか?もしよかったら、ご飯いきません?僕、お腹空いちゃって...」


(お昼食べてないし

夕飯も込みでたまには外食もいいかも)


『今日は授業で終わりです。いいですね、行きましょう』


ごはんを共にし、会話もそれなりに弾み

連絡先を交換するまでの仲になった。


そして、日が経つに連れてわかったことがあった。


わたしの選択している授業のうち

5つを彼もとっていたこと。


ダブっている授業では当たり前のように

わたしの隣の席は彼と決まっていること。

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