第5話

4日目


「あれ?ブレスレットがない。

 彼氏からもらったブレスレットがない‼︎」


騒いでいたのは叶だった。


"えーー!ヤバイじゃん。今日してこなかったとか?

いつも着けてきてるのに?どっかで外した?"


いろんな所から心配の声があがる。


「さっき手首がかゆくなって、机の上に置きっぱなしで

少し席から離れちゃって...で、戻ったら無くなってた。」


わたしはブレスレットが無くなった経緯いきさつ

聞いたとき安心していた。

その時間帯は休み時間でトイレに行っていた。

騒ぎが起こったのは

わたしが教室に戻ってからの話だからだ。


"ねぇ叶。

次の授業始まる前にクラスの全員に聞いてみない?"

グループの1人が言い出した。


「この中に盗んだ人がいるってこと?

えっ?コワッあり得ないんだけど〜」

叶は笑っていた。


"それではこれからカバンの中を見せてもらいます。

すみませんが協力お願いしまーす!"


少しずつわたしの順番に近づいてくる。


"ありがとね、関口さん。次は芹澤さん。見せて。"

他の子と2人で私のカバンをのぞいてくる。


"あったーー!叶あったよ!

芹澤さん、人のものとっちゃダメじゃん。"


『えっ⁈ちょっと待って。わたしその時間トイレにいて

席外してました。それにわたしとってません。』


どうして?わたし?

頭が真っ白になった。


"でもアンタのカバンの中にあったでしょ!"


『………わたしじゃないです。咲崎さんがこのブレスレットを着けていたこと自体知りませんでした。』


"何言ってもムダよ。叶に謝りな‼︎"


『………』


"早く!アンタがやったんでしょ!あや..."


「もういいよ。ブレスレットあったんだし。

やってないとか言ってんだから。」

思わぬことに、叶本人がグループの子の言葉をさえぎ

「授業始まるし席着こう。」そう言い離れてった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る