おじいさんと一緒に

急いでコテージに戻ったティナは、おじいさんに状況を説明しました。


アレクサンドルおじいさんは、ティナの話を真剣に聞いてくれました。そして、優しく微笑んで言いました。


「ティナ、よく相談してくれたね。一緒に助けに行こう」


ティナは目を輝かせました。


「本当ですか?」


「ああ、本当だよ」


おじいさんは優しく言いました。


「困っている者を助けることは、とても大切なことなんだ。でも、一人で無理をするのではなく、助けを求めることも大切な勇気なんだよ」


ティナは嬉しそうに微笑み、丁寧に答えました。


「はい、おじいちゃん。一緒に行けてうれしいです」


そう言って、ティナとおじいさんは再び森へと向かいました。ティナはペンダントをしっかりと握りしめながら、子猫を見つけた場所を目指します。


森の中は、さっきよりも少し暗くなっていました。木々の間から差し込む光も、だんだん弱くなっています。でも、おじいちゃんと一緒だったので、ティナはあまり不安を感じませんでした。


「大丈夫、きっと見つけられるよ」


おじいさんが励ましてくれました。


しばらく歩いていると、また小さな鳴き声が聞こえてきました。

ティナとおじいさんは声のする方向に歩いていきます。


「どこにいるの?」ティナは呼びかけました。


すると、近くの茂みから、か細い「ニャー」という返事が返ってきました。


ティナとおじいさんは急いでその場所に駆け寄りました。そこには、さっき見つけた灰色の子猫が、まだ怯えた様子で枝に絡まっていました。


「よかった、見つけられた」


ティナはほっとして言いました。


おじいさんは慎重に茂みに近づき、枝を丁寧にかき分けていきました。ティナも小さな手で手伝います。


「ゆっくりだよ、ティナ。」


おじいちゃんは優しく教えてくれました。


二人で協力して、少しずつ枝を解いていきます。

最後に、おじいちゃんが子猫を優しく抱き上げました。


「はい、ティナ。この子を抱いてあげな」


おじいちゃんから子猫を受け取ったティナは、幸せな気持ちになりました。子猫は、ティナの腕の中でほっとしたように小さく鳴きました。


「さあ、帰ろうか」


おじいさんが言いました。


帰り道、ティナは子猫を抱きながら、おじいさんに尋ねました。


「おじいちゃん、この子の世話をしてもいいですか?」


おじいさんは、優しく微笑んで答えました。


「もちろんだよ。でも、動物の世話は大変な責任もあるんだ。本当にできると思うかい?」


ティナは真剣な顔で頷きました。


「はい!私が責任を持って世話をします。この子を守りたいんです」


おじいさんは満足そうに頷きました。


「わかった。じゃあ、これからこの子の世話も、君の大切な仕事の一つだね。そして、困ったときは助けを求めることを忘れずにね」


ティナは嬉しさで飛び上がりそうでした。子猫をそっと抱き上げ、優しく語りかけます。


「聞いた?これからは一緒だよ。名前をつけなくちゃね。うーん、シルバーはどう?だって、君の毛並みが月明かりみたいにきれいな銀色に輝いているもの」


子猫は、まるで理解したかのように小さく鳴きました。


おじいちゃんは、ティナの頭をやさしくなでました。


「君は今日、本当の勇気を見せてくれたよ、ティナ。困っている者を助けようとする心、そして助けを求める勇気。これからもその優しさと勇気を大切にしてね」


ティナは嬉しそうに笑いながら、シルバーを抱きしめました。胸元のペンダントが、月明かりに輝いています。この日の冒険は、ティナにとって大切な思い出となりました。



(おしまい)

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