第二話 アルバイト
「さあ!まずは畑仕事からだねぇ!」
元気な声がマリアの耳にものすごく響いた。
「は…はぁ…」
朝の6時だというのに無理やり起こされ、無理やりパンを食べさせられ、借りたジャージを着て、今に至る。
「は…畑仕事って一体何するんですか…?」
めちゃくちゃ眠いマリアが問いかける。
「ああ!まずは、土を作って、種を植えて、最後に水をやるところまでだ!」
畑仕事に慣れてないマリアからするとものすごい長時間になりそうだ。
土を作る。土を盛った後、食事の時に出た食べカスなどを入れる…エコなやり方だ。
くわを思いっきり動かしてみるが、なかなかうまくできない。
村人の力を借りて頑張るが、わずか2分ちょっとでヘトヘトになった。
「はぁ…はぁ…」
すぐそばにあった岩に座ると、村人が竹筒に入れていたお水を口に持っていく。魚の模様が描いてある手拭いで体を拭いた。マリアの頬にはたくさんの汗がついていた。
「あの…すごくどうでもいいことなんですけど…」
マリアが村人に問いかける。
「おう!どんなことも聞いてあげるぞ!」
「この島ってなんて名前ですか…?」
「……は?」
案の定こんなふうに返されてしまった。
「この島はな…」
「パルブム島っていうんだぜ!!」
マリアの頭の中で何かが揺れ動いたような気がした。
「……へぇ〜。」
マリアは何て返したらいいかよくわかんなかったためこんなふうに返してしまった。
パルブム島ー
大陸から離れたところにある島。島から大陸への橋は無く、船で行かないと着けない程の距離がある島。大昔までは無人島だったが、今からおよそ500年前に居場所を奪われた人たちが移動してきて、今に至る。
そしてマリアは何事もなかったかのように、土を耕していく。耕し終えたら、ナスやトマトなど夏野菜の種を植えるみたいだ。
土を
ちょっと痛い。ヒリヒリする。服は少し泥がかかっており、汚れている。
すぐそばにあった岩に腰掛け、おにぎりを食べていく。もぐ…もぐ…と。
その後は土が盛ってあるところに種を
そして水やりをして…
10時間ぐらい経っただろうか。始めた頃には朝日がさしていたのに、いつのまにか太陽が西の方面にあった。
「お疲れ様!」と村人が声をかける。
マリアは過呼吸ばかりしていたが、笑顔を保っていた。
「ふぅ〜……」
マリアは村人のドラム缶風呂を借りてため息をする。それにしてもお湯が気持ちいい。マリアが風呂に入っている間、タオルと寝巻きを急いで村人が準備する。
「どう?気持ちいいかー?」と村人が問いかけたのでマリアは、
「うん!」と即答した。
体がポカポカして心地がいい。まるで温かいものに包まれているような感覚だった。
ふとマリアが目を
(……筋肉…ついたかな…)
腕と足がパンパンに腫れあがっていた。が、一番気になったのはそこではない。
(…!…胸…!)
マリアは自分の胸を触ったら少し恥ずかしくなった。
(私…女性なんだね…よかった〜(?))
なぜなら多分……大きいから……多分。なんか色っぽいこと書いてすみませんね…。
マリアはそそくさと髪を洗って風呂を出た。
(…もう自分の体のことは忘れちゃおう。恥ずかしいし…)
そう思い寝室に上がった。
風呂に入った直後だったので、体が普段より暖かい。ふと、窓の外を見ると、衝撃的な光景が広がっていた。
「…武器!?」
そう、そこには5人組の男子グループが歩いていた。手には、短剣を手にしている。
「む、村人さぁぁぁん!!」
びっくりして大声を出してしまった。もう20:00くらいなのに。
「ど、どした?」
「あ、あれ!!」
マリアはそのグループを指差した。
「あぁ!これかぁ〜!こいつらは村の安全を確認するんだよ。悪い奴らが来ないようにするためにね!」
「な、何だぁ〜びっくりしたよ〜!」
しかし、何か怪しい。これから悪者を殺すかのような殺気の気配がした。が、そのことを伝えることは出来なかった。
「…おやすみなさい。」
そのまんまベットに入った。
次の日、マリアは信じられない光景を目の当たりにした。
(…!?血まみれ…!?)
たぶん、あの時に見た5人組の1人だと思う。だが、身につけていた服はボロボロになり、包帯をたくさん巻いている。腕、脚、頭から血が滲み出ていて、とても痛々しい。はぁ、はぁと息を切らしたまま、体から血がボタ、ボタと落ちていく。
「ど、どうしたの!?」
とマリアは混乱したまま男性に問いかけた。
「これ…?これは…ね…悪い奴らを…滅ぼした…ん…だよ…」
と言い、そのまんま行ってしまった。
と、街を歩いてみると、村人たちがたくさん集まっていた。マリアはその様子を見ていた。
「やったぞー!!こいつが魔物をとっちめてくれたぞー!」
「ばんざーい!ばんざーい!」
「
犠牲者…魔物……
全てが信じられなくなってしまった。
The・アドベンチャー!シリーズ 桃猫 知花 @krag06
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