第一話 絶海
見渡す限り、海、海、海!
マリンは、空いた口がふさがらなかった。でも、勇気を出して、周りを歩いてみる。
ザッ、ザッ、と砂を踏む音が聞こえる。慣れない靴を履いて歩くのはとても大変だ。
歩いて行くと、何やら声が聞こえる。
「今月は鯛が旬じゃけぇ(だから)、安いでぇ!」
「お米、ちいと(ちょっと)くださいな〜」
少し
トットッ…靴とレンガの道が触れて、リズミカルな音が響く。そのままダッシュして行くと、
賑やかで、たくさんの人たちが笑顔で、声が飛び交う、素敵な村が見えた。
マリア「…。」
マリアは黙ってその様子を見ていると、一人の子供がこちらをみた。
マリア「! ヤバい!気づかれた!」
慌てて木の後ろに隠れる。が、その子供が手を差し伸べてきた。
マリア「え?」
子供「ん」
その子の手に当てたその瞬間、ぐいっと強く引っ張られた。
マリア「わっ!わっ!ちょっ!!待っ…!」
引っ張られ、たどり着いた所は……
賑やかで、朝日が気持ちいい町だった。
???「こら!勝手に連れて行ったらいけん(ダメ)じゃろ!」
子供「ごめんなさい…でも、こんな人見たことないよぉ」
???「あれ?……まぁ…確かにこんな人見たことないねぇ。」
こんな人…マリアの事をそう言っていたが、少し心に変なものを感じた。
そしてはっとして周りを見てみると、たくさんの人たちが私たちを見ていた。
マリア「え…あ……の……」
続けて言った。
マリア「ここ……どこですか…?」
村人たち「ええぇぇ!?」
突然ものすごい野太い声で言われ、マリアはびっくりした。
???「おやおや…どしたんかねぇ…」
その時、街の真ん中から、一人の老婆がやってきた。木杖を使い、のそ、のそ、とやってきた。
マリア「…ねぇ…あの人誰?」
少年「村長だよ?」
マリアは村長を見つめるなり、村長のところへ駆け寄って、
マリア「村長さん…ここは…どこなんですか…?そして………どこで暮らせばいいんですか……?」
少々泣きそうな目で歩み寄った。
村長はうっすら目を開けて…
村長「おぉ……なんてべっぴんさんなんじゃあ…!村一番のべっぴんかもしれんのぉ…!」
マリア「え?」
続けて言う。
村長「お前はいろんな場所で働いて、暮らすのが一番じゃのぉ…そうと決まれば、早速準備するのじゃ!」
マリア「……え?」
マリアは言葉がこれ以上でず、空いた口が塞がらない状態になってしまった。
村人たち「よーし!そうと決まれば準備じゃ〜!」 「おー!」
とせっせと準備しているのに対し、マリンは固まった。
マリア「…え?……つまり……どういうこと…ですか?」
村長「簡潔にいうとな、お前は…働け……ということじゃ…」
マリア「はあぁぁぁ!?」
急に決まったのでマリアは少々キレた。
何も自分のことがわからないのに。存在がわからないのに。それでも人々と協力しないといけないの……?
村長「じゃあ…まずは、この村一の魚好きの家へ言って、民泊じゃ……え?…場所を知らん?」
そりゃそうだ。マリアはこうツッコミたいが我慢した。続けて、村長が、
村長「なぁに…行き方はとっても簡単じゃ……あの道をまっすぐ行って……このびいるの看板を右に曲がると左側に見えるぞ…」
そう言ってマップを渡された。最初からそれ渡せばわかるよ。とマリアは思った。
マリア「村長さん…ありがとう!じゃ、行ってきます!」
マリアは元気な声を出して、走り出した。
タッタッタッタッ…とレンガの音がたくさん響く。賑やかで自然も美しい村だ。
ホーホケキョ!と、どこからか
しばらく歩いていくと、キランと光るものを見つけた。大きさはだいたい一般的なおはじきに近い大きさで、銅色に輝いていた。銅貨だ。
それを茶色のズボンのポッケに入れるとその近くにあったアクセサリーショップに目をつけた。
いらっしゃいませ!と女性定員の元気な声が聞こえた。
定員「何か気に入った?」
目の前のたくさんの指輪…ネックレス…イアリング…どれもキラキラ輝いていた。
マリア「じゃあ…このイヤリングください!」
そのイヤリングは
女性定員「じゃあ、それだったら、銀貨2枚と銅貨6枚ですね。」
…そんなお金はない。今、手元にあるのはたったの銅貨1枚。
マリア「…ごめんね…私…今……銅貨しか……持ってなくて……」
マリアは少し頬が赤くなった。そして恥ずかしくこう言った。
マリア「あの…銅貨1枚で買えるものって……あります……?」
絶対ない。そんなもの……と思いきや一つだけ出てきた。
女性定員「これだったら…銅貨1枚で買えるよ?」
それは、ハートの形をした指輪でもない、イヤリングなどでもない…キーホルダーのようなものだった。
マリア「こんなので構いません!今すぐ買います!」
と元気はつらつな声で言った。
女性定員「はい!銅貨1枚頂戴いたします!…お会計ありがとうございました!」
マリア「どういたしまして!またねー!」
と少女の元気な声が響いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そうしてしばらく歩いていくと、村長さんが言ってた、村一番の魚好きの家に着いた。
マリア「ここかぁ…」
マリアはその人の家のドアをトントンと2回叩いた。しーん…としていて留守のようだ。
マリア「どっか行ってんのかなぁ……またお店ぶらぶらしとこ…」
マリアはその家を離れ、またお店たちを見つめて歩いた。
???「ちょっとあんた〜。この世界のことと自分のことを知りたいんだってぇ?」
マリア「え?」
急に声をかけられて、少々戸惑った。
マリア「この世界…?どんな世界なんですか…?あと…私って一体…?」
???「占ってやるよ」
そう言って案内され、小さいベンチに座った。占い師のようだ。
占い師「ふふふ。見えるわ……お前はマリアって名前じゃろ?」
マリア(! 当たってる!)
占い師「その顔は…当たったな…お前はな…15歳の少女…誕生日は7月20日…だな…」
続けて、
占い師「後…血液型はB…163cm…体重は…」
マリア「体重だけは勘弁してください!!!!!」
マリアは自分がどんな人物か理解した。
15歳の少女…誕生日は7月20日…など個人情報を頭の中にメモった。
占い師「この世界はな…」
その時、占い師の口から信じられないことを話した。
占い師「この世界はな、夜になると魔物が出てくんだよ。この島は少ないけどな、大陸にいくとものすごい数の魔物がいる。」
マリアは衝撃が突っ走った。
マリア(魔物が…夜になると…出る…?じゃあ…自分で自分の身を守ったりしないといけないの…?)
マリア「あ、あのありがとうございます!教えてくれて、ちょっと民泊してきますね!」
占い師「ああ、言い忘れたが、絶対に洞窟には近づくんじゃない…絶対だ。」
マリアは一瞬体が固まったが、すぐに「はーい」と返事をしたが、なんか少しから返事みたいな感じで言った。
その後、急いで村一番の魚好きの家に行って、5分ぐらい走ったら着いた。
マリア「はぁ…はぁ…」
息を切らしたまま、もう一回ドアをトントンと2回叩いた。
???「おー!ようこそいらっしゃいました〜!」
とマリアに負けないくらい強い声で迎えてくれた。
???「さあさあ!布団も風呂も準備してあるからねぇー!」
と言われここで1日を過ごした。そして…
これがマリアの
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