第12話

放課後。


掃除を終えてはたの教室に行くと、笑いながらヒロと話してるのが見えた。




徹太『あ、柄畑さん。沼田さん来たみたいだよ。』

奈近「ごめん、今掃除終わった!…もしかして結構待った?」

夏穂『ううん、大丈夫だよ。小広君と話してたし。』

奈近「そう…?ヒロと何話してたの?」

徹太『部活について話してたんだ、仮入部は何処にするか。』




あ、朝来るときに私と話してた内容か…




夏穂『チカ、小広君は何処に入部するつもりだと思う?』

奈近「う~ん…野球部とか?」

徹太『不正解。…実はバドミントン部に入るつもりなんだ。』




え?!バドミントン部?!

確か運動部の中で一番キツいんじゃ…。




徹太『この辺、強豪校が多いから練習もかなり厳しいみたいなんだけど、昔からプロの選手に憧れててね。中学に入ったら部活はバドミントン部にするって決めてたんだ。』

奈近「そうなんだ?」

夏穂『小学校のクラブもバドミントンだったし、小広君は強いって有名だったみたいだよ。』




あ~…、そういえばそんな噂を聞いたことがあったような…。




徹太『あ、僕そろそろ行かないと…』

夏穂『そっか、バド部は今日からだっけ。』

徹太『じゃあまた明日ね!』




ヒロはそう言うと荷物を持って体育館へ走っていった。




奈近「…はたは見学行かないの?」

夏穂『私?ハンド部は今日顧問の先生がいないから休みなんだって。…チカは?』

奈近「吹奏楽部は明後日からなの。じゃあ帰ろ?」

夏穂『うん!』




はたが荷物をまとめるのを待って私達は帰路についた。

帰る途中、お互いに今日あった事を話したけど、はたの話にはヒロの話が何回か出てきた。




夏穂『…でね?そこで小広君がおどけた口調でそんなこと言うからみんな笑っちゃってさ、先生まで大爆笑だったんだよ!』

奈近「そう…、何か全然問題なさそうね。」

夏穂『え?何が?』

奈近「今みたいにはたの話を聞いたり、さっきの様子を見る限りだと…やっぱり昔の事を変に気負う必要ないんじゃないかな?お互いそんな事意識してないように見えたし…はただってヒロと話してる時、昔の事思い出した?」




きょとんとした顔で私の顔を見てくる親友に私がそう言うと、彼女はハッとして口を開いた。


夏穂『ホントだ…全然気にしてなかった…』

奈近「でしょ?ってかむしろ前よりも二人の距離が近い気がするな。」

夏穂『え?!そう見えるの?!』

奈近「うん、ヒロは前にはたが庇ってくれたことが嬉しくてまた前みたいに話したいって思ってるんじゃない?」

夏穂『そっか…だとしたら嬉しいかも。』




その時笑ったはたの顔がすごく綺麗に見えて、私はなんとなく(もしかしたら、はたはヒロの事好きなのかもしれないな)って思った。




でもこの雰囲気を壊したくなかったから、この事は私の胸の中に留めたまま、数歩先を歩く親友を追いかけていった。

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