2人の距離 【奈近side】

第11話

翌朝。


私が急いで待ち合わせの神社に行くと、はたはもう来ていた。




奈近「おはよ!ごめん、待った?」

夏穂『おはよう。ううん、待ってないよ。』

奈近「そう?朝目覚まし鳴らなくてさ…急いで出てきたんだけど変な所ない?」




100段くらいある階段を上りながら髪がはねてるんじゃないかと思い、頭に手をやる。




夏穂『大丈夫、いつも通り長くて綺麗な髪の毛で羨ましいくらいです。』




笑顔でそう言うはたはいつも変わらない様に見えた。




良かった…昨日はちょっと心配だったけど、1人でちゃんと納得できたみたい。


…親友の私を頼ってもらえなかったのはちょっと淋しいけど。




階段を上りきり、神社の境内を横切るとはたが思い出したように私の顔を見た。




夏穂『そういえば、チカは部活なに入るか決めた?』

奈近「私?私は吹奏楽部に入ろうと思ってる。」




一度金管楽器弾いてみたかったんだよね~。




奈近「はたは?何に入るの?」




はたは運動神経いいし、陸上部とかかな?




夏穂『私はね…ハンドボール部がいいかな…』

奈近「へぇ、結構ハードそうだよね。」

夏穂『うん!…最初は陸上部も考えたんだけど、それ以上にハンドボール部が気になっちゃってさ。』




そんな話をしている内に、いつの間にかはたの教室の前まで来ていた。




夏穂『じゃあチカ、また放課後ね!』

奈近「うん、また―」




“後でね”って言おうとしたら、丁度教室からヒロが出てきた。




徹太『あ、柄畑さんに沼田さん。おはよう。』

夏穂『あ、小広君…おはよう。』

奈近「おはよ…ヒロは早いわね。家、学校から近いんだから、もう少しゆっくり来ればいいのに。」

徹太『そうなんだけど…家にいてもやる事ないし、だったら早めに来て誰かと話をしてた方がいいなって思って。』

夏穂『…でもまだ教室に5人くらいしかいないよ。』




…確かに。

それに教室にいる人達は寝たり読書してるし…。




徹太『…だよね、明日からはもう少しゆっくり来ようかな。…二人は一緒に来てるの?』

夏穂『そうだよ、神社下の大階段に8時に待ち合わせしてる。』

徹太『そっか。…じゃあ明日からは僕もそれくらいに来ようかな、そしたら柄畑さんと話せるし。』

夏穂『え?』

徹太『なんてね!』

夏穂『もー!小広君ったら…』




……何て言うか…さ。




昨日も思ったけど、仲良過ぎじゃない?

私が入る隙ないし…。




お互い昔の事を気まずく思ってるなんて周りから見たら分からないよ。




もしかして気まずく思ってるのは、はただけなのかな…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る