第10話
その日の昼休み、私は小広君に呼び出されて廊下の突き当たりにある歴史資料室の前で話していた。
徹太『さっき古田さん達から聞いたよ…、巻き込んじゃってごめんね…。』
小広君自身も自分が好きな子からこんな風にからかわれてすごく困っているようだった。
夏穂「大丈夫だよ?ちゃんと黙ってるから!小広君の為だもん!!」
徹太『ありがとう、柄畑さん。』
小広君はホッとした顔でお礼を言ってきたけど、私は少し気になってた事を聞いてみた。
夏穂「…でもさ、こんな事になっちゃった訳だし、このまま告白しちゃった方がいいんじゃないかな??」
徹太『えぇぇ?!む、無理だって…それに僕、速水さんの前だと意識し過ぎてうまく話せないんだ…』
夏穂「う~ん、そうなの?」
この状況を1番見られたら面倒な子達に見られてた…。
勇姫『何話してるの~?』
古田『何々~?愛を語り合ってるの~?』
徹太『は、速水さんに古田さん…』
夏穂「別に…何も語り合ってないけど?」
勇姫『…ゴメン徹太~、ちょっと夏穂借りるね。』
え?ちょっ…!
私はいきなり笑顔の2人に両脇を固められ、そのまま女子トイレへと連行。
こうして2人の逃れられない尋問が始まり、問い詰められてしまった…。
でも小広君が可哀相だから私は絶対に口を割らなかったんだけど、そのうちかわすのが難しくなってきて、とうとう嘘をついてしまった。
夏穂「あの…、折り鶴の折り方を教えてたんだよ…」
その時、担任の先生が入院していたから皆で折り鶴を折ってたんだけど、その折り鶴の折り方が少し変わってたんだよね。
勇姫『な~んだ、つまらないの~』
古田『昼休みかなり潰しちゃったじゃん…』
これでもう大丈夫!!
勇姫『ちょっと!徹太は違うって言ってるけど!!』
古田『…嘘ついたのね。』
…じゃなかった。
場所は5限前の教室。
チカと雑談していたところ、勇姫と古田さんがすごい剣幕で教室に入ってきた。そろそろ授業が始まるから人もそれなりに揃ってて、2人の大声に一瞬で注目が集まる。
2人の後ろには私と同じく問い詰められたであろう小広君がハラハラしながら控えていた。
って向こうはマジでキレてるー!
…なんだよ、なんだよ!そっちこそいい加減空気読めー!
そして私は付きまとってくる2人にイライラしてたせいもあり、遂に女子特有の暴走モードに突入★
夏穂「…そっちこそ、ちょっとは考えてよ。」
二人『は?夏穂がいけないんでしょ!!』
夏穂「こっちは気を遣いすぎて疲れるわ!…それと小広君!!」
とうとう小広君にまで飛び火…
徹太『え。』
夏穂「なんで言っちゃうのよ!せっかく小広君の為に嘘ついてごまかせたのに!!」
徹太『え、え?…ゴメ…』
古田『え、徹太の為って…?夏穂、一体何がー』
夏穂「あぁ、もう!皆しばらく私をほっといて!!」
奈近『…ホント、何があったんだか…』
…完(?)
その後は皆、私達の事を放っておいてくれたし、小広君とも5年のクラス替えで違うクラスになって、関わらなくなったから、小広君が勇姫に告白したかどうかも分からなかった。
でもそんな感じで知り合ったから、私が小広君と勇姫の仲をややこしくしてしまったような気がして、気まずいと思ってあまり話してなかった。
彼が私の隣の席になるまでは…
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