第8話

バレンタインから1週間位経ったある日、私は忘れ物を取りに放課後の教室に戻っていた。


夕方だけど、やっぱり夜の学校って…ちょっと怖いよね。




途中、階段を上がっていると上の方から誰かの話し声が聞こえた。




え?何??怖いよ…。




階段の途中でしばらく固まっていると、この声に聞き覚えがあることに気付いた。




この声…もしかして、小広君と伊瀬君の声?




いくら放課後とはいえ、暗くなるのは早かったし、少し遅い時間だったからおかしく思った私が階段から声のする方を覗いてみた所、二人は教室の前の廊下にいた。


凍也『徹太君、あいつに告白しないの?ケーキもらった後に告白するって言ってたじゃん。』

徹太『でも、何て言っていいか分からないし…自分の気持ちに整理をつけてから…』




あ…

伊瀬君と目が合っちゃった…




どうしていいか分からず固まっていると、小広君が静かに聞いてきた。


徹太『柄畑さん…今の話、聞こえちゃった?』

夏穂「…うん。盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど…ごめん。」

徹太『そっか…。柄畑さん、このことは誰にも言わないでもらえないかな。』




小広君はまっすぐ私の目を見ると頼み込んできた。




徹太『僕の言葉で、直接伝えたいんだ。お願いします!』

夏穂「え、私は…」

凍也『頼むよ、柄畑さん!徹太君かなり本気なんだ!!柄畑さんも女子なら分かってくれるだろ?』

夏穂「ちょっ、あの…、分かったから…。ちゃんと内緒にするよ…、だから小広君…頑張って。」

徹太『ありがとう、柄畑さん!僕、頑張るね。』

凍也『徹太君、頑張れよ!俺も応援してるから!』






これでめでたし、めでたし。




…の、はずだったんだけど…

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