第2話

奈近『とうっ!』

夏穂「った!?何?誰??」

奈近『何って“はた”を見かけたから声掛けに来たんじゃないの。』




そう言って私の背中にタックルしてきたのは焦げ茶色の髪が腰位まであり、かっちりとした細身の黒ぶち眼鏡をかけている背の高い女の子だった。




彼女は私の親友の沼田奈近。幼稚園、小学校と仲が良く、私は面倒見がよくて真面目な彼女に頼りきりでよく困らせていた…。

私はそんな彼女の事をチカと呼んでおり、彼女は私の事を“はた”と呼んでいた。




夏穂「あ、チカ。おはよう。」

奈近『おはよ…って何、そんなの読んでたの?周り誰も読んでないわよ。』

夏穂「ん?入学式始まるまでまだ時間あるし、一応目を通しておこうと思って。」

奈近『ふ~ん?なら携帯に連絡してくれれば良かったのに…』




わざとらしく口を尖らせてくるチカはちょっとだけ拗ねているように見えた。




夏穂「あ、そっか!え~っと…」




その考えが全く頭に浮かばなかった私は感心しながら制服のポケットやスクールバックの中を手探りで確認する。


…チカは呆れ半分でその様子を見てたけど。




夏穂「携帯、家に忘れてきちゃったみたい…」

奈近『全く…はたはマイペースと言うか何と言うか…ホント天然だよね。』




チカは『はあぁ…』と大きな溜め息を吐きながら私を見るけど、私ってそんなに天然?!




夏穂「あれ?でも普通携帯は持ち込み禁止だよね?」

奈近『そんなの律儀に守ってる人なんて殆ど居ないよ。先生の前で使わなきゃバレないって!』




…そんなもんかなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る