思い付き短編
桃野産毛
“告白”
麗らかな日差し。
教室は静寂。
遠くで野球部の声がして、
吹奏楽か軽音かがチューニングの間抜けな音を響かせる。
「告白できない。」
向かい合わせに座る二人。
教室にはこの二人しかいない。
「スマホを持ってて、SNS最盛期のこの世の中!
告白ができない!」
「うるせぇ。」
うんざりした声。
「それなのに、なのに、なのに!
あっちこっちで、イチャイチャ、イチャイチャ、
イチャイチャしよって!
羨ましいわ!」
がなる。
耳が痛くなるほどの声量だ。
「告白したからだろ。」
「どーやって?!」
「面と向かって?」
「ヴァーカ!
そんなことしてみろ、断られた挙げ句、
SNSでキモイとかウザイとか晒されるわ!
しかも、何年も保存されて、
同窓会でまた晒されるんだ!」
「その考えがキモいわ。」
言わんとすることは分からなくないが、
行動も起こさず決めつけるのは如何なものか。
「ラブレター?」
「黒歴史の現物じゃんか?!
それこそ晒されるためのものだよ!」
「ウダウダ言うだけより、キモくない。」
「言葉の切れ味良すぎだからね。
言葉で人は死ねるからね。」
必死。
「そもそも、誰に告んの?」
「おまえ。」
凍結。
「は?」
耳を疑う。
「生徒になに言ってんの?
変態女教師が。」
思い付き短編 桃野産毛 @peachfuzz
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。思い付き短編の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます