第21話

さらに俺達が3年のフロアを進んで5組の扉を開けると、金髪にグレーの瞳の女子がこっちを向いた。




??:

あ…柄畑サン!




この女子生徒はロシアからの留学生の小林ビクトリア。

一応日本人の父親とロシア人の母親との間に生まれたハーフらしいんだけど、母親の血が強かったみたいでパッと見はロシア人にしか見えない。


女子達からは親しみを込めて『ビカちゃん』って呼ばれてるみたいだ。




夏穂:

ビカちゃん!今日も元気だね!


ビカ:

ハイ!

昨日イイ事ありましタ。


奈近:

…いい事?


ビカ:

ハイ!初めて1人でオリガミして折り鶴、折る事が出来ましタ!




そうか、確か小林は伝統文化部に入ってたな。

華道とか、茶道とかいろいろやってるみたいだけど折り紙までやるのか…。




奈近:

そっか、すごいじゃん!


ビカ:

ハイ!今度沼田サン達にも作りますネ!


夏穂:

うん。楽しみにしてるね!


ビカ:

私、最近オリガミの他に文通、ハマってます!

母国、ロシアのペンフレンドは勿論ですが、学校のトモダチともオテガミ交換したいデス。


俺:

小林は色んな事に積極的だな。


ビカ:

ハイ!光行サンも私と文通、しませんか?




小林がそう聞いてきたので、俺は素直に答えることにした。




俺:

悪ぃ。俺は愛する人のためにしかペンを握らないって決めてるんだ…。


ビカ:

It's so cool!!『忍ぶ恋』…というやつですネ!

光行サン、カッコイイデス!憧れマス!!




小林は感動の目で俺を見てくるが、沼田は何か言いたそうな目で柄畑さんを見る。




奈近:

…。


夏穂:

…チカ、あまり見ないで。

視線が痛い。

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