第19話

夏穂:

そういえば…

私、この前シャーペンなくしちゃったんだよね…。


奈近:

あぁ、あのピンクで細いやつ?


夏穂:

そう。書きやすくて気に入ってたのに…




柄畑さんがしょんぼりと肩を落とした後、2人は示し合わせていたかのように俺の方を見た。




奈近:

(ジー。)


夏穂:

(ジー。)


俺:

あの~…2人とも、その視線は何?




視線が痛いんだけど…


じとーっというような視線を受けて物凄く居心地が悪い。




奈近:

みっちゃん、返すなら今だと思うよ。


夏穂:

葉立さん、今なら怒らないから。


俺:

いや、俺じゃねーよ!!




やっぱり!


疑ってると思ってたよ!!


それに柄畑さんまで…




奈近:

…冗談よ。


俺:

おい、今の間は何だよ!

沼田…お前さては本気で疑ってたな?!


奈近:

だってみっちゃん…

はたの事ストーキングしてるじゃない。


俺:

あのな…

俺は盗聴しても人の物を盗ることはねぇよ。犯罪だし。


奈近:

どの口が言ってるんだか!

私はアンタの口から犯罪って単語が出たことにビックリよ。




沼田は心底驚いたような顔でまくし立ててくる。


確かに…俺は柄畑さんのスクールバックに盗聴器仕掛けてるけど、柄畑さんが嫌がりそうなことは絶対にしないし、柄畑さんのプライベートは守ってるつもりだ!!

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