日陰
そうやって学校にいることが楽しくて仕方ないからかわたしは実家にいることが少なくなった。
妹は中学生、弟は小学生になった。もう2人ともなんでも1人でできるようになった。もう幼い頃のように可愛くて仕方ない幼児ではなくなり、反抗期真っ只中である。
親は最近目の前でケンカすることはなくなり、2人とも仕事を夢中でしている。父と会うのは父が休みの水曜日だけ。母とも寝る前か朝に会うくらいである。
わたしは部活だったりバイトだったりで21:00に帰って寝るだけの生活をしていた。そのころも夜の家事は子供達の仕事だったので兄弟3人で分担してやっていた。
母方の祖母はお盆や正月に会う度に母の心配をしていた。
「ケイ(母)こんなに痩せて、頬がこけて大丈夫かい?リク達はなにをやってるんだい!!!親に迷惑ばっかりかけて!!!たまには親を労りな!!!」
「ちょっと待ってよ!私達だって学校が終わってから洗濯物を取り込んだりごはん作って片付けてできるかぎりのことしてるよ!」
「まー、そのくらいしかしてないじゃないか!そのうえ頭も悪いんだってね!おまえ達を生んでも意味が無かったね!!!」
母方の祖母の事は大嫌いだった。いつも何か悪いことがあれば私達子供のせい。母もかばってくれた事も無い。泣きながら私達をここぞとばかりに責めるのだ。そして母が働きづめなのは祖母の借金返済のせいなのにだ。
父は口癖のように母方の親戚に心を許すなと言う。幼いころはなぜ父がそのような事を言うのか意味が分からなかった。私にとっては父方の祖父母も母方の祖母も大事な存在だった。
ただ、両家は物理的にも離れているし仲良くしているところを見たことがなかった。どちらも無関心で、どちらも常識が違った。私達は父方の祖父母と過ごす時間が長かった。
高校に行ってるとき、友達といるときはちゃんと楽しい。だが、親といるとなぜか妙に腹立たしくて、自分の事が許せなくなっていた。親の嫌なところが似ているのが腹立たしくて仕方なかった。
母はもともと私達の家事の仕方が気に入らなかったり、遅い時間まで外にいると怒っていた。そして父に泣きつく。
「なに?この部屋はいつから豚小屋になったの??それにいつも何かしたら元の状態より綺麗にしろって言ってるでしょ!!??」
父は父でいつも家にいないので母の言うことにしか耳を貸さず怒るだけ。私達の言うことなど、ただの反抗として耳を貸さない。
いつもそのような感じなのでわたしは学校かバイト先、妹は図書館、弟は友達の家にいてなるだけ親と会わないようにした。どんどん親子の心は離れていった。
たまに兄弟げんかもするが私達兄弟はわりと仲良くすごしている。だが親に反抗し始めた頃からわたしは変わった。
弟妹が家事を手伝ってくれないとイライラするようになった。それまで手伝ってくれなくても、ただ自分で家事をこなせばいいだけだった。
なのにいつの間にか自分だけが家事をすることに不満をもった。その不満をそのまま弟妹にぶつけていた。あんなにも嫌っていた親と同じ事をしていた。
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