第2話  あの日の約束

鈴香が「ね?あの日の約束を覚えている?」と話を始めた。

綾音が「うん、約束って?」と話をしていたのは、あの頃の約束。

そう、私は、鈴香の気持ちが分かり合えたり、分かり合えない時があったりしても、どんなことがあっても離れないと言うものだった。

鈴香が「ありがとう。あの頃の約束を覚えていたのね?何だか今までの事が相場等のように頭から出てきては消えていくのを感じるわね」と話を始めた。

綾音が「そうね。あら?夕日が綺麗」と教室の窓から眺めていた。

綾音の母のユアンが「全く遅いわね?綾音は何をしているのかしら?」と中国出身のユアンは綾音を心配していた。

ユアンは中国から日本に来て2年が経とうとしていた。

日本語は少し片言だが、ようやく喋れるようになったのは、綾音が高校一年生になってからだった。

幹太が「お、鈴香。ようやく夕方だから、夜になると夜景が綺麗だぞ」と嬉しそうにしていた。

綾音の幸せは、大切な人と幸せになることだが、しばらく綾音に叶う相手は居なかった。

最近だと「ごめん。お前の事を好きになれないから他をあたってくれ」と言われたことが辛かった。

綾音は誰かを信じることで、誰かに裏切られることが怖いという気持ちに陥っていた。

綾音はしばらく、港の見える海の灯台の所に座っていた。

そこへユアンが来て「何をしているの?綾音」と綾音を心配して声を掛けた。

綾音が「お母さん」とユアンを呼んだ。

ユアンは「綾音は夕日が好きね?最近はどう?」と声を掛けた。

綾音は「まぁまぁかな。お母さんは?」と逆にユアンに尋ねた。

ユアンは「家事とかやらなきゃならないから大変よ」と綾音に返事をした。

綾音が「お母さんも大変なんだね。私も頑張らなきゃ」とユアンの手を握った。

その後、父の豊が午後19時に家に帰ってきた。

綾音は布団で寝ていた。

綾音の身体に、ユアンが掛け布団を掛けた。

豊は「綾音、寝ているな?」とビールを片手に飲みながら見ていた。

ユアンが「いろいろと疲れることがあるのよ。人生はまだ長いし」と話し掛けた。

豊は「そうだな。夕飯頂きます」と手を合わせて箸でおかずを食べていた。

ユアンは豊が「これ、美味しい」と嬉しそうに食べている顔を見て微笑んでいた。

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