第2話  あの日

モヤが掛かって、何も見えない山奥にガロウが「ぎゃー-ん」と泣き叫んでいた。

眼が醒めて、心音は「え、此処はどこ?」と呟くと、現実世界だった。

あの日、心音が見たのは現実世界でもなく、私が書いた小説の世界であったこと、それは事実なのだが、学校に行って拓人が「何をそんなに焦った顔をしているんだよ」と心音に尋ねた。

心音が「私が書いている小説の主人公が、朝にガロウモンスターの夢を見るって書いたものそのままで、私の作った小説の主人公に私が、なっているのかもしれない」と話し掛けた。

拓人が「それやばいな。でも、心音が小説の主人公に選ばれたなんて凄いことだよ」と納得していた。

心音が「そんなのんきなことを言って、私が主人公なら、私がガロウモンスターを倒さなきゃいけないのよ?嫌だわ」と青ざめた顔をしていた。

心音が「そんな・・・、あんな小説を書かなければ、こんな事にならなかった」と後悔していた。

拓人が「まぁまぁ、どうにかなるだろう?クリスとアレクが居るんだから」と励ました。

心音は授業が始まり、内緒で小説を書いていると、小説が書き終わったところで眠りに就いた。

クリスが「やぁ、久しぶり。元気にしているか?」と木の上に上っているクリスを下から見上げた。

心音が「そんなところに居たのね?凄く登って行ったな」と驚いていた。

クリスが「アレク、俺、木から降りるね」と話をして、木から降りるとアレクがクリスを受け止めた。

それを見ていた心音は「きゃー、危ない」と悲鳴を上げた。

アレクが「そんなに頼りなくて勇者が務まるのか?」と心音の姿を見て呆れていた。

心音が「しょうがないでしょう?私が勇者になるなんて思っていなかったの」とムキになって怒っていた。

アレクが「まー、良いけどね。俺たちがガロウモンスターを倒すぞ」と意気込んでいたが、モンスターを倒すことが出来ないで居た。

心音が、頭から呪文が浮かんできて「われの命令に従い、我の力になれ。強鉄剣」と剣を振り回して、何十にも切って行く。

ガロウは「うわああ」と喚きながら、炎と共に消えた。

心音は「切った」と静かに一言を残し、身体を丸めて、シャキンと剣をさやに納めた。

心音が「次は誰?」と目をギラギラさせながら、敵を威嚇(いかく)していた。

ガロウは「うわぁあ」と喚きながら、森の奥へと帰って行った。

クリスは「よくやったな。偉い」と心音を見て褒めた。

アレクは心音を見て「あんな力、何処から出てくるんだ」と驚いていた。

心音は「私だって、やる時はやるわよ。あっはっは」と偉そうに高笑いをしていた。

そして、心音は夢から覚めて静かに目を開けた。

心音は「あの日に書いた小説が現実になってしまって、このガロウモンスターも、あなた達も私が書いたものなの」とアレク達に話をした。

アレクが「そんな事ある訳ないだろう?俺たちは俺達で今実在しているし、心音が書いたというのなら信じるよ」と素直に気持ちを伝えた。

心音が「ありがとう。信じられないとは思うけど」と話し掛けた。

アレクが「ただ、主人公ならもっと機敏な動きが出来ないか?この世界に居る時なら、魔法も使えるだろう」と尋ねた。

心音は「確かに、この世界に居る時だけ魔法も頭から出てくるし、敵も倒せる」と自信を持って話をした。

心音が「移動せよ。インビテーション」と唱えると、心音は木の上に姿を現した。

クリスが「心音、やるじゃん。その調子でいけば、モンスターもイチコロだ」と張り切っていた。

アレクが「やるな?この調子でガロウモンスター退治も頑張れよ」と心音の肩を叩いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る