アントキノナミダ
影山 みはつ
第1話 心音
「心音、心音?起きて」と母親の凛が声を掛けた。
心音は、アントキノナミダと言う本を図書館で見つけて、読み始めた。
心音は、不思議な本を見つけるのが好きで、アントキノナミダの本を読んでは涙を流しそうになった。
月詠 拓人が「何を泣いているんだ?この本、確か原因不明の病で亡くなるシーンがある」と話し掛けた。
心音が「そうなんだ。良く知っているね?」と拓人に返事をした。
心音は眠くなり、目をつむると不思議な木の前に居て、アレクが「あれ?此処に居るのは誰だ?」と心音に声を掛けた。
クリスが「あら?此処には不思議な洋服を着た女の子がいるね?」と不思議そうに心音を見ていた。
心音は「此処はどこ?」と辺りを見回していて、アレクが「此処はリステルと言う街さ。此処は貧乏な人が商人をして、お金が出来たら牛を飼って、荷物を運んで買い物をして暮らす街さ」と話を始めた。
心音は「じゃ、此処は私の心に描いた物語の中?」と状況が掴めないまま、動揺をしていた。
クリスが「そういう事になるかな?名前は、心音と書いてあっただろう?僕たちの事を登場人物にしてくれてありがとう」とお礼を述べた。
アレクが「このリステルの国は、あるモンスターのガロウモンスターが居て、ここに住む人たちを襲っていくのさ」と話を始めた。
心音が「う、それは、私が前に書いた物語そのものね?いつの間にこの世界に入ったかわからないけど、私は戦いたくない」と断った。
クリスが「そんな弱気な気持ちで、この物語を作ったというの?信じられない」と心音の返事に答えた。
アレクが「まぁ、いいじゃないか?何かあったときは俺達で何とかしよう」とモンスターと戦う決意をした。
クリスとアレクの姿が消えたと思ったら、拓人が「おーい、心音起きろよ」と心音の身体を揺らした。
心音が「ん?どうしたの?」と眠りから覚めた。
拓人は「どうしたのって、ちゃっかり図書館で寝ていたのかよ」と驚いていた。
心音は「此処は図書館?いたたた。やっぱり現実世界に戻ってくると安心するな」と背伸びをしていた。
拓人が「おい、何を言っている。ここは現実世界ってどこの世界に行っていたのさ」と心音に話し掛けた。
心音は「そうだよね?なんだか頭が混乱していて、うまく言えないけど、自分の心の中に描いた小説が、夢の中で私が主人公になっていたの。クリスもアレスも居たわ」と事実をそのまま話した。
拓人は「そうか?まぁ、ここは現実世界。小説とは全く別物だからね」ときっぱりと断言した。
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