革命なう
風宮 翠霞
革命なう
「な……なんで、お前ら……」
俺は、
二十年来の親友達……兄弟のように育ってきた三人の親友が、俺の前に立ち塞がったからだ。
あと一歩で、俺は上位階級の人間に仲間入りするはずだったんだ。
それを……親友達は、ぶち壊した。最悪のタイミングでだ。
「ごめんね……でも、仕方ないじゃん?」
「まぁ……諦めてくれ」
「君は、強すぎたんだよ……僕達には、こうするしかなかったんだ」
「なんでだよっ!?なんで今、このタイミングで……革命なんて起こすんだよ!!
もう少しで、俺は……」
「だからじゃん、
「はっ……?」
奏多が言っている意味が、わからなかった。
いや、わかりたくなかった。
「このタイミングだからこそ、意味があるんだよ……いくら晶でも、もうどうしようも出来ないこのタイミングだからこそ、晶を止める為に協力出来たしね」
嗚呼、最悪だ。勝てない……。
三人は、一人だけでも強いんだ。それを、俺は運だけでなんとかここまでやって来たのに……手を組まれたら、俺は終わりだ。
「……さすが、だなぁ。本当に、お前らは強いよ……」
もう今の俺の手持ち
「ごめんな。お前は今回、強すぎたんだよ」
「ははっ……」
俺は、力無く笑った。
大事な勝負に勝てなかった俺が、最強のお前に強いと言われる日が来るなんて……。
今日は、最悪で最高の日だな。
俺は、静かに手に持っていたものを下ろす事で……この
◇
「っしゃぁ!!これで俺が三回連続で
七回目のゲームを制した研二が、両手を上げる。
降参した俺は、また最下位だった。
「あ〜!!もうっ!!また研二の勝ちだぁ……」
最後に一騎打ちをしていた康二が、持っていたカードを机に叩きつける。
いや、それ俺のトランプだからね……?
大切にして……?
「疲れたぁ……。もう大富豪やめよう……僕が払うのでいいから……」
惜しいところで三番手だった奏多は、もう机に突っ伏してしまった。
彼は今最下位だ。
「じゃあ、奏多の奢りでさっさと酒飲もうぜ……」
ちなみに俺が下から二番目。
さっきので革命がなくて勝ててたら、二位になれたんだけどなぁ……。
九回大富豪をして、一番多く負けた奴が他の全員に地酒を奢るという、何気ない旅先での賭けが発端だったが……勝負が思ったよりも白熱したせいで、七回もやると全員がぐったりし始めていた。
あと二回大富豪をやるのはしんどい。
本人が奢るって言ってるなら、もうそれで良いのでは……?
「よしっ!!そうと決まれば買いに行くぞ〜!!奏多だけ財布持って行けよ!!」
「おー……ゴチになりまっす!!」
「わかってんじゃないか。感謝しながら飲め」
「お前が負け続けたから奢る羽目になってるんだけどなぁ?」
「うっせぇ黙れこの大富豪が。一番の金持ちなんだからお前が払えばいいのにな?」
男四人、ワイワイと騒ぎながら部屋を出てホテルの近くのスーパーまで地酒を買いに行く。
何気なくスマホを覗くと、研二と康二の二人のLINEストーリーが更新されていた。
二人とも同じ文章だ。
「革命なう」
俺はその瞬間、後で二人を殴る事を決めた。
革命なう 風宮 翠霞 @7320
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