ちょっとだけ……なんて読み始めたら止まらずに読み進めていました。
作中に蝉の鳴き声なんてでないんですが、なんというか、さっきまで五月蝿いほどに鳴っていたのに、ふっと声が消えてしまうような、世界の裏側に一歩足を踏み出してしまったような、そんな恐ろしさとおぞましさと、どろりとして粘着質な世界観に一気に惹き込まれてしまいます。
深淵を覗き込むような少年の眼差しも印象的なのですが、特に比喩表現が秀逸で、この表現をこの言葉で表すのかとこの世界にどっぷりと引き摺り込まれてしまいます。
そう、気が付けばもう物語の中に引き込まれていますよね。
凄いです。
凄い物語です。