異世界転生したゲーム製作者はチートMOD使い?! ~自作ゲームの世界でMOD操作して最強になった製作者~

ねればる

製作者と勇者パーティーは最強で最高!

第1話 目覚めた先は…。

 


「な、なんじゃこれっ!?ここドコォ?!」


 俺の目の前には、何故か大森林が広がっていた。目をこらして少し奥を覗かせれば、森林にはでこぼこした土の道らしきものが見えている。上を見上げれば二つの太陽…。いや、太陽は反対側に暑苦しい陽射しを照らしながらゆらゆらとして見えるのが分かる。


 (うん…。あの二つは月か…?! って…、ここはまじでドコ?)


 俺は歩きながら、自分の体も何故かスースーすると思い、下をみれば、俺の息子が無造作にもゆらゆらと動いている。


 (おいおい!なんで俺は全裸なの!?流石にまずいだろ!?)


 その辺りに、大きい葉っぱの植物があるのが見えたから、俺は植物を手でもぎ取り、下着替わりに見にまとう。同時に、現状整理をしてみる。


 (確か…、ここずっと徹夜でゲーム作りをしていて、急に眠くなって…。目が覚めたら此処にいたんだよな…。)


 3日間くらい、自分の作成していたゲーム「フィール ブレイブ ファンタジー」というRPGを作成していて、完成間際にMOD導入テストを完了させて、ネットにあるMODを漁っていたら気を失ったって感じだったかな…。


 (目が覚めたらここ?まさか、繭のやつ…。ドッキリさせたいからか、俺をこんな所まではこんだかのか?いやいや、それは無いか。あいつ、今日は学校だっただろ?じゃあ誰が?)


 妹の繭(まゆ)は学校…。親父達は既に他界。俺の高校時代の友人は皆して上京しているし。いわゆるボッチだ。

 とりあえず、道らしき獣道を行く宛もなく前へ前へと足を進ませていく。辺りは街灯すらも見当たらなければ、人気のない林道みたいな感じだ。でも見た事がない鳥や虫も確認できる。


 (道を見るけど、車が通った後がない…。でも自転車?みたいな乗り物や馬の蹄みたいな跡が通った形跡はあるなぁ…)


 それから、どれくらい歩いたか…。暫くすると奥の方を見れば、ぼんやりと道の真ん中に大きな物体を確認できる。


 (なんだ、あれは…?動物の死骸か?いや…。なんか違う…。)


 近づくに連れて、だんだんと物体の形がハッキリしてくる…。僅か、数メートルまで来ると、それが何かハッキリした…。


 (おいおい!なんでこんな場所に!?これ、人間だよな?!生き倒れたか?!)


 その物体は、人間だった。うつ伏せになり、顔を横にして目を瞑り倒れている。時代劇の奴隷のような服を着ていて、服や体のあちらこちらが泥や埃の汚れが酷く目立つ。皮膚は、かすり傷だらけで痛々しく見えた。人間の外見を気になり見てみると…見た目的に14~6歳くらいの髪の長い女の子だ。


 (うん。繭と同じくらいの年齢か?大丈夫か?この子… っつーか、日本人には見えないけど…。)


 俺は少女が生きているのか気になり、少女に声をかける。


 「おい。大丈夫か!?こんな所で寝てると轢かれるぞっ?!」


 「んっ…」


 僅かだが、少女に反応がある。どうやら生きてはいるみたいだ。


 (とりあえず…、轢かれたらヤバイから安全か場所に…)


 俺は、少女を道の端っこまで、ゆっくりと抱き抱える。思ったよりも少女は軽く、簡単に抱き上げる事ができた。その時、少女の手首にブレスレットみたいな鎖がついているのを確認できた。その鎖にタブがついている…。見た事がない文字なのに何故か読める…。


 「ファ…スタリア…奴隷商…。ん?!ファスタリア奴隷商!?」


 そのファスタリアという言葉はよく知っていた…。俺が作ったゲームのオープニングの舞台の名前と酷似していたからだ。


 「しかも奴隷商って?まさか…?」


 (どういう事よ?それに、この少女…。よく見れば俺が作ったゲームの主人公に似たような容姿をしているんだけど…。名前はスミレ…。年齢は15歳…。奴隷からスタートして、ファスタリアという犯罪組織が集まる塔から抜け出すって話なんだけど…)


 そんな事を考えていたら、少女の体がゆっくりと手を動かしたりしているのを確認できる…。


 「んっ…。あ、あれ…。私は…」


 「あぁ…、目が覚めたか!?というか~、大丈夫か?!生き倒れてたぞ!?」


 少女は、俺の顔を見るたびに寝ぼけ顔から一気に青ざめた表情へと変わる。


 「へ、変態さん…」


 「おい!俺は神に誓ってもアンタを襲おうなんて気はないぞっ!俺はロリコンの趣味はないぞっ!」


 「んっ…、でも全裸…」


 最初は、少女の言葉が理解できなかったが、やけに下半身がスースーする…。恐る恐る俺は少女を見ている視線をゆっくりと下に下ろしていく。


 「ひ、ひぎゃあああっ!!」


 まさに今、全裸になってしまっている俺がいるではないか! 少女が倒れている場所へと視線を向けると、さきほどまで身に付けていた葉っぱのパンツが落ちていた。


 「ち、ちょっとまって!」


 俺は、少女にそう話すと、慌てて葉っぱで作ったパンツもどきを身に付ける。少女の顔をちらりと見ると無表情で怯えながら、こちらを見ていた。


 「す、すまんすまん!何せ、俺は気付いたらこの森にいて、なんでなのかわからんけど服も脱がされていたんだ!」


 「んっ…、変態のお兄さんも奴隷…だったの?」


 少女は怖がってそうな表情をしながら質問してくる。


 「いやいや!机で作業していたら気を失って倒れたらしくてな… 気が付いたら、この森にいたんだ。」


 「ふーん…」


 少女はまだ回復していないのか、少し疲れたような声だった。


 「所で、アンタの名前を聞いていいか?俺は神城繭人(かみしろ けんと)だ…」


 少女の名前が気になった。俺が作ったゲームの中に登場する奴隷商の名前や二つの月。そして何よりも、少女の外見が「フィール ブレイブ ファンタジー」の主人公に酷似していたからだ。もし、主人公のスミレだったらと期待を込めていた…。


 「ケント…? んっ…。私はスミレ…。」


 スミレ…。やっぱりそうだ!これは俺が作ったゲームの世界にそっくりだ!!まだ確証はないが、最近よく見かける異世界転生のラノベや漫画と同じような展開なのかもしれない!と俺は嬉しくなった。


 (という事は…。もしかすると…)


 「スミレ…。教えてくれてありがとう!」


 「んっ…」


 スミレの喋り方も、まさに瓜二つだった。ふと、俺はゲーム作成していた時を思い出す。俺の作ったゲームなら、ステータス確認したりするためのコマンドが出る…。もしかしたら…


 「ステータスオープン!」


 俺は、そう張り切りすぎて大きな声を上げてしまった。すると、目の前にはゲームで見慣れた半透明の四角の形をしたコマンドが出る。上から順番にアイテム、装備、ステータス、図鑑…。そしてMODという表記もある。何故か、セーブとロード、オプション表記はないが…。


 「んっ…?いきなりどうしたの?」


 「あぁ?スミレには見えないのか?俺の目の前に水色の半透明の板のようなものが出てるのがさ?」


 「んっ…、まったく…」


 「そ、そうか…。少し待ってくれないか…。今、これから、どうするか考えている…。」


 「ん…」


 どうやら、スミレには見られないようだ。


 (まず、俺のステータス確認。レベルは10程度か…。スライムやゴブリン辺りなら余裕の設定にしてあるが…。)


 俺自身の能力は、作成したメインキャラから見れば平均値より下回るくらいらしい。そもそも自分自身で作成したわけじゃないのに能力なんてあるのが不思議だが…。

 次に、装備を見るが、『葉っぱのパンツ』のみ。防御力なんて 0 だ。続いて、図鑑の確認をする。人物図鑑には『スミレ』のみで、スミレの能力も書かれている。正に自分が作成した初期能力のまま。スミレはレベルが上がる事に着々と強くなる設定にしてある。最初はパーティーメンバーに支えられながらも後半から一気にパーティーを守る設定だ。

 そして、一番気になったのがMODだ。俺が作成していたのは、あくまでもテスト用のままだ。だからMODをテストプレイ用に導入していたのだが…。


 (やっぱり、MODはちゃんと入っている…)


 現在、導入しているMODは全部で6個。


1 能力値 X 10倍(テスト用)

2 食事スポーン機能

3 付近のアイテム自動収集

4 自動バフ機能

5 どこでもコテージ

6 ジョブチェンジ(テスト用)


 以上の6つだ。早速、試したいものは…。俺は立ち上がり、目の前にいるスミレに話かける。


 「少し、試したい事があるんだ。」


 「んっ…」


 スミレに話しかけ、俺は後ろを向き『食事スポーン』のボタンを押す。すると、目の前が真っ白に光輝き、もくもくとした白い煙が上がると同時に美味しそうな匂いが鼻をついてくる。


 「んっ…?美味しそうな匂い…」


 「やっぱりか!?マジででたよっ!」


 白い煙から現れたのは、ちゃんとスプーンがついて、綺麗な皿に入ったトマトや白菜でできた野菜スープと、笹の葉でくるまれたおにぎりと、ペットボトルのような容器に入ったお茶 が出現した。俺がドット絵で作成したままの姿そのものだ。でも現れた食事は一人分。スミレは急に現れた食べ物を見て、驚きよりもいかにも今すぐ食べたそうな目で見つめている。


 「あぁ、まずは俺が、ちゃんと食べれるか一口食べてみるよ!」


 おにぎりを両手で半分にして、一口頬張る。塩加減がほどよく、食べなれている米の食間が口を包み込む。うん。問題ないだろう。


 「後は、その…、スミレが食べなよ」


 「えっ…?いいの?」


 スミレは疲れた表情をさせているが、目がうるうると輝いているようにも見えた。


 「ああ。どうせ何も食べてないんだろ?」


 「んっ…。じゃあ言葉に甘える。」


 そう言うと、スミレはばくばくと、おにぎりを美味しそうに頬張る。その姿を見ていると、俺は我に返り…。


 (なんでここに来たのか…と暫く考えていた…。どうしてここに?しかも自分の作ったゲームじゃん…)

 

 と…。


 スミレが野菜スープを半分以上食べ終わった直後…。俺達の後ろからガシャガシャと乗り物のような音が聞こえてきた…。スミレはその音をきくやいなや、我に返り震えた様子で食べる事を止めて座り竦み上っていた。


 (そうか…。これはゲームのオープニング…。スミレが拐われる所からのスタートだ!つまり、あれはファスタリア奴隷商会!!逃げて来たスミレを追って来たんだ!)


 俺は、無意識の内にMOD画面を開いていた…。

 


 


 

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