ミライ202X/現在選択できません/奄美花梨編
三宅蒼色
00.冒頭(仮)
ここで登場する『奄美花梨(あまみ・かりん)』は、クライミライでの花梨と、クライミライ3/4あたりの花梨との中間に位置します。(主に性格的なものが)
『小笠原茅花(おがさわら・つばな)と出会っているか?』が大きな分岐点であり、クラミラ時ほど尖ってはいませんが、"クラミラ4"や"ミライ202X"の、何故か茅花と姉妹のような立場にいる花梨ほどユルく丸くもありません。
ミライのキャラは、繰り返す世界の中において発生する"偶発"によってキャラとしての思惑や性格、そして目的が変化します。
これは、可能性の分岐を経て辿り着いたひとつのエピソード。
すべては皆が望む『未来』へ終着するために。
* * *
;//視点明記、場所&時間明記
;//一人称+三人称です
郊外にポツンと建つラブホテル。周囲住民への配慮もある街中のそれと違い、無駄な光で溢れてるのが相場。
しかしながら、ここは少々雰囲気が違った。
近くに深夜ドライバー向け24時間営業の休憩施設があり、多くの大型トラックが停車している。併設されたコンビニは深夜でも客足が途絶えることがない。
国道沿いという好立地。道路を走る車からそれは、ただのビジネスホテルにしか見えない外観をしていた。
聞けばこれら一帯は同じ地主の所有だそうで、基本的には税金対策の節税物件である。儲かる必要もないのだから、宿泊はおろか休憩も相場の倍以上。ボッタクリである。
その代わり内装も図抜けて良かったし、何より"若いの"が近付かない単価。加えて人目に付きにくい郊外。後ろめたい不倫などには最高のロケーションと言えた。
そんな、学生など近付くことさえ出来なさそうな"ラブホ"に、まだ学生の身である男女がいた。
日は落ち、既に夜を迎えた時間……
【奄美花梨(あまみ・かりん)】
「ン……っ……ぅ~」
艶めかしい声色とは裏腹に宙で手を組み、グンと伸びをする様子は一仕事終えた事務OLのよう。
『奄美花梨』の特徴的なツインテールが揺れ、そのまま形のよい胸もプルンと揺れた。
気だるそうな顔だが美人。そんな女の一糸まとわぬ姿にさして周囲の男たちが興味を示さなかったのには理由がある。
まだ幼ささえ残る顔立ちの男たち……生徒達は花梨より年下で、いわゆる後輩だ。
素性は殆ど知らないし、ひょっとすると中等部の子まで混じっているのかもしれない。
【花梨】
「なにしてんの?」
【後輩の男子たち】
「あ……いえ、なんかシーツとかズレちゃってるんで戻しとこうかなと」
【後輩の男子たち】
「このペットボトル誰の? もう残ってないから、流して捨てるぞ」
【花梨】
「……ふうん」
ほんの十分ほど前までセックスに興じていた男女の会話とは思えない。
彼らの行動を見て花梨はようやく察した。
【後輩の男子たち】
「あの、クローゼットの中にこれ、バスローブあったんで、よかったら」
【後輩の男子たち】
「先輩が裸だと、なんか、目合わせにくくて……」
;//あんがとはミスではありません
【花梨】
「ああ……うん、あんがと」
花梨は腕を通さずバスローブを羽織った。
ラブホテルのベッドにしては上等なマットレス。隅っこに座って手持ち無沙汰に体重を乗せたわませながら……"綺麗なセックス"、花梨はそう思った。
前戯に時間をかけて順番に挿入、そして射精。
テクは巧くもないが下手でもなかった。つまり、浅いながらも経験はある男たちなんだろう。
クラブからの要請で、後輩数人が自分をご指名で……という話だった。
【花梨】
「(乱交……のハズだったんだけど……)」
女が1人に複数の男でセックス。つまりそれは乱交、或いは輪姦。
なのに。
【花梨】
「(テンション上げた私が馬鹿みてーじゃん)」
まるであれだ。『帰りの会』のあと、真面目に教室の清掃をする生徒たちの姿だ。
こちとら風が吹いてもカウパー滲ませるよーな、性欲溢れる"妖怪・童貞コジラセ"が希望だったんだけど?
【後輩の男子たち】
「先輩、マジで最高でした。なんていうか……カノジョとのみたく固いセックスじゃなくて、とろける感じで柔らかくて。お、俺ら荒く無かったですか?」
【後輩の男子たち】
「僕も、最後らへん、乱暴に腰振っちゃったから、痛くないかなって……」
【後輩の男子たち】
「先輩の……その、締め付けられるんじゃなくて、包み込まれるみたいなあの……年上の包容力、すごかった……」
【花梨】
「ひとつしか違わないじゃん。まあ、満足してくれたなら、女として嬉しい」
男たちはみな、満足だったようだ。
それは表情や言葉からもわかる。
【後輩の男子たち】
「あ、やべ……クラブから指定されてる時間ギリだ」
【後輩の男子たち】
「おい、1秒でも破るとマズいぞ。俺の兄貴の友達が、調子こいて時間超過したときの話したろ!?」
【後輩の男子たち】
「せ、先輩すみません、僕らこれで失礼します……クラブに連絡入れなきゃ」
【花梨】
「あー……連絡は私からしとくわ。あんたらはそのまま帰ってくれていいよ」
【後輩の男子たち】
「え、でも、先輩にそこまでさせるのは……」
【花梨】
「いいのいいの。なんかあいつらにビビってるみたいだけど、しょーもない連中ばっかなんだから、テキトーでいいじゃん」
【後輩の男子たち】
「それはマズいですって!」
焦る姿を適当にあしらい、花梨は後輩達を追い出すように帰した。
・・・
・・
・
※仮置き版です
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