第二十三話 帰宅
家に帰ったケンジは、自分の部屋にこもってた考え込んでいた。ナオとマナ、二人から告白を受けたことで彼の心は揺れ動き、どうすればいいのか全く分からなかった。自分の感情を整理しようとするたびに、さらに混乱してしまう。
そんな時、部屋のドアがノックされて開いた。そこには姉のカナミが立っていて、少し心配そうな顔をしていた。「ケンジ、ちょっと話せる?」
「うん、いいよ」とケンジは返事をし、カナミを部屋に招き入れた。カナミはケンジのベッドに腰を下ろし、真剣な表情で彼を見つめた。
「最近、ずっと悩んでるみたいだけど、何かあったの?」とカナミが優しく問いかけると、ケンジは少し躊躇いながらも、ナオとマナからの告白について姉に打ち明けた。
カナミは話を聞きながら、静かに頷いていた。「そう…それで、どっちの気持ちにもちゃんと答えられないって思ってるのね」
「うん…俺、自分がどう感じてるのかすら分からないんだ。ナオもマナも大切な友達だし、でも恋愛感情って言われると…」とケンジは正直な気持ちを吐露した。
カナミは少し考え込んでから、微笑んだ。「ケンジ、恋愛ってそんなに簡単に答えが出るものじゃないよ。人それぞれ違うし、どんな形でもいいんだから」
「でも、二人とも俺のことを真剣に思ってくれてるのに、こんな中途半端な気持ちでいるのが申し訳なくて…」とケンジが言うと、カナミは少し笑いながらケンジの頭をポンポンと叩いた。
「ケンジ、そんなに自分を責めないでいいの。大切なのは、自分がどう感じるかをちゃんと見つめること。そして、どんな答えを出すにしても、相手に真摯に向き合うこと。それが一番大事だよ」とカナミは優しく語りかけた。
「でも、俺にそんな勇気があるかどうか…」とケンジは不安そうに呟いた。
カナミは少し真剣な顔をしてケンジを見つめ、「大丈夫だよ、ケンジ。君はいつも真っ直ぐで、優しい人だから。そのままの君でいいんだよ」と力強く言った。
ケンジはその言葉に少し救われたような気持ちになった。姉の言葉は、自分がどうあるべきかを少しずつ教えてくれているようだった。
「ありがとう、カナミ姉ちゃん。少しだけ気持ちが軽くなった気がする」とケンジは微笑み、カナミに感謝を伝えた。
「いいのよ。いつでも相談してね。私は弟の応援団だから」とカナミは笑い、ケンジの肩を軽く叩いた。
二人はそのまま少し雑談をして笑い合い、ケンジは少しずつ前に進むための勇気を取り戻していった。恋愛の答えはすぐに出せないかもしれないけれど、少しずつ自分の気持ちを見つめ直していくことができると、ケンジは感じ始めていた。
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