第十五話 気持ちに任せて
マナは、ケンジとナオの会話を聞いていると、自分の心が痛むのを感じた。彼女はいつも、ケンジのことを気にかけていた。彼が困っている時、いつもそばにいて、力になりたいと思っていた。しかし、彼がナオに夢中になっている姿を見るのは、何よりも辛かった。
一方、ケンジはナオからの優しい言葉に心が躍り、さらに彼女への想いが強くなった。ナオと話した後、彼は自分の気持ちをはっきりとさせることができ、少しだけ自信を持つことができた。
しかし、その夜、ケンジは自分の部屋で一人、ナオへの想いとマナのことが頭をよぎった。彼女の存在はいつも近くにあったが、彼女の気持ちに気づいていなかった。マナの優しさや支えを無意識に受け入れていたが、彼女が自分に恋しているとは考えもしなかった。
翌日、ケンジは学校に行く途中、ふとマナが元気ない様子で歩いているのに気づいた。彼女の顔はどこか暗い表情を浮かべており、ケンジは心配になって声をかけた。「マナ、どうしたの? 元気ないみたいだけど…」
マナは少し驚いた様子で振り返ったが、すぐに笑顔を作ろうとした。「あ、ケンジ! うん、大丈夫だよ。ただちょっと考え事してたんだ」
「無理しないで、何かあったら言ってくれればいいから」とケンジは優しく言った。彼は彼女の本当の気持ちを知らないまま、無邪気に接する。
その瞬間、マナは胸が苦しくなった。「うん、ありがとう…ケンジ」と返事をしながら、彼女は自分の気持ちを押し殺すしかなかった。
学校に着くと、ミカが元気よく近寄ってきた。「ねぇ、ケンジ! 今日の放課後、みんなでカラオケ行くことになったよ!」
「カラオケ?」とケンジは驚いた。「俺も行っていいの?」
「もちろん! みんなも来るし、楽しいと思うよ!」ミカは笑顔で返した。
その日の放課後、ケンジはカラオケに行くことになった。友達と一緒に歌って踊って楽しむうちに、少しだけ日常を忘れることができた。ナオも参加することになり、ケンジは彼女と楽しい時間を過ごすことに期待を膨らませた。
カラオケルームに着くと、みんなはテンションが上がり、歌い始めた。ケンジはナオの隣に座ることができて嬉しかったが、周囲の雰囲気に気を取られ、なかなか自分の気持ちを伝えられないでいた。
「次はケンジだよ! 何の曲を歌う?」とミカが言った。
「えっ、俺? 何か歌ってみようかな」とケンジは少し照れながら立ち上がった。彼は心の中で何か大きなことを伝えたいと思っていたが、緊張している自分に気づいた。
「頑張れ、ケンジ!」ナオが声をかけてくれると、彼の心が少し落ち着いた。ケンジは自分の好きな曲を選び、マイクを手にした。
歌い始めると、周りの視線を感じるものの、ナオの微笑みが自分を勇気づけてくれた。彼は歌詞に込められた想いを届けるように声を響かせた。
しかし、その時、カラオケルームのドアが開き、アキラが入ってきた。彼は少し驚いた表情で周囲を見渡した後、すぐにケンジに目を向けた。アキラは口元に笑みを浮かべ、ケンジの歌をじっと聞いていた。
歌が終わり、拍手が沸き起こった。ケンジは照れくさくて笑いながら、「ありがとう!」と叫んだ。すると、アキラが手を叩きながら近づいてきた。「ケンジ、歌うまいじゃん! すごいな!」
「アキラ、なんでここに?」ケンジは驚いた。
「友達が誘ってくれたからさ。お前たちが楽しそうにしてるのを見たら、つい来たくなった」とアキラは答えた。
その後、アキラも仲間に加わり、みんなで盛り上がる時間が続いた。しかし、心の中では、アキラがナオにアプローチしていることが気にかかっていた。ケンジは、自分がどれだけ彼女に気持ちを伝えたかを振り返りながら、さらに奮闘することを決意した。
夜が深まるにつれ、カラオケの楽しさが徐々に高まり、全員の距離が縮まっていく。しかし、マナの心の中では、ますます複雑な感情が渦巻いていた。彼女は、自分がどれだけケンジを想っているのかを理解しつつ、彼がナオに夢中であることを見つめるしかなかった。
その夜、ケンジの心には新たな決意が芽生えていた。ナオへの想いを形にするために、そして、マナのことも考えながら、自分の気持ちに正直でいることが必要だと感じ始めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます