第16話 学園ものが始まってバトルも始まっちゃったよ
昔見てた昼ドラにはよく修羅場というものが存在した。
修羅場とは主に二人以上の女性が一人の男を取り合う話。
メインヒロインな女性でもこの時だけは怖い一面を見せる時があったが、なんで唐突にそんな話をしたかって?
「お前たちのような強欲女どもに俺の冬夜は渡さないぞぉぉぉぉぉ!!」
「別にアンタのものじゃないでしょうがァァァァ!!」
金髪と茶髪が喧嘩している。
不思議な話であるが、女同士ではなく男女。あと何故か茶髪の幼馴染の頭とお尻(正確にはスカートを突き破る感じで!)から犬耳と尻尾が出ていた。
「キサマのような優柔不断女が俺と冬夜の仲を裂けれると思うなっ!」
「だ、誰が優柔不断女よ! そ、そりゃ色々思うことはあるけど、それでも、アンタみたいな変態の思うようにさせてたまるもんですかっ!」
前回も紹介したが、改めて金髪の眼鏡男子の名は鳴瀬和馬というイケメン男子。
小学校の頃からの幼馴染、ではあるが、性格が真面目過ぎて偶に付いてけない時がある。困った奴だ。
魔法使いだと半年前に知って、その後も色々とオレの受験の為に手伝ってくれて頼りになる奴……なんだが、肝心の魔法が……。
「アンタと一緒だと冬夜にまで変態が移るじゃない! このアタシの目が黒いうちはそんな真似はさせないから!」
「な、何をぉぉぉおおお!!」
そして茶髪のポニテ女子(犬耳と尻尾付き)は、オレの幼馴染にしてかつてオレが告白して玉砕した相手である犬井愛華。
こいつとも小学校の頃からの付き合いだが、中学二年の夏以降ずっと距離を置いてしまった。
正直オレの中では忘れたい黒歴史の一つ。
もしかして和馬と恋仲だったのかと勘違いしたこともあったが、いち早く周りがオレの誤解に勘付いて速攻で誤解だと説得してくれたお陰で被害は出なかった。
あのまま勘違いしていたらどうなっていたか。絶対にロクでもない未来しか待っていない。
「中等部の頃からよく二人して学園に来ていたけどよく衝突していたわね」
「さらっとオレの隣で話してくるけどお前もか雪奈?」
「また会えて嬉しいわ冬夜君?」
見た目は黒髪ロングで清楚な美少女。
だけどその中身は二回しか会ってないオレでもヤバそうに見える龍宮寺雪奈。
「ひどい紹介の仕方をされた気がするわね」
「ハハハハ、気のせいに決まってるじゃないか」
冷たいジト目がオレに向けられる。Mな男子なら喜ぶだろうが、オレにそんな趣味はないので笑って誤魔化しました。
「こうなったら勝負よ! マジックバトルでケリをつけてやる!」
「上等だ小娘め! 返り討ちにしてくれる! 冬夜は俺のものだ!」
「アンタなんかに絶対渡さない!」
いつの間にかバトルする流れになっている。
あと何故かオレが賭けの対象になってない?
「今日って入学式だよな? いいのかこれで?」
「安心しなさい。此処じゃ全然見慣れた光景だから」
なるほど日常茶飯事というわけか。
マジでヤバい学園に入学したなー。
「全員集まっているな。これから入学式を行うから全員体育館へ向かうぞ」
「「「「はぁーい!」」」」
ちなみに先生はクールな女性教員。スーツ越しでも愛華よりも大きいのがよく分かりました。ええ、よく分かりますね!(*変なテンションとはこのことを言う)
「……なるほど、やっぱり貴方もそっちの人間なのね。このおっぱい星人め」
「グハッ!?」
『でってれ〜、トウヤは九割越えのダメージを負ったー』
まさかのク、クリティカルヒットだと!?
さっきよりもずっと冷たい絶対零度の光線を至近距離で受ける。
ダメージは大きく入学式で行われた学園長の有り難〜いお話も全く耳に入らなかった。
*
入学式は滞りなく終わったので――省略!
教室に戻るとクールな担任(巨乳)の田村先生からの簡単な説明を受ける。
各自の自己紹介を終えると今日は授業もなく解散となった……のだが。
「では田村先生、お願いします!」
「いつもすみません田村先生! でも今日ばかりはコイツを見過ごすわけにはいかないんです!」
「新学期早々お前たちは……まぁいつもの事か、仕方ない」
オレたちは帰ることなく、というか和馬と愛華に巻き込まれて試験会場に使った訓練場に来ていた。今日は使用予定はなかったのか、オレたち以外誰もいない。
ちなみにオレたちとは、オレ、愛華、和馬と何故か雪奈までいた。
「では結界の使用を許可するが、ルールはどうする?」
「一騎打ち勝負! それ以外あり得ません!」
「この拳でこの変態を潰せるなら何でも構いません!」
「いつも燃えているなお前たちは」
先生は本当にクールですねー。低血圧なのかな。
逆にコイツらは血の気が多過ぎだろ。愛華なんて拳をボキボキ鳴らしててカレン姉が乗り憑ったみたいだよ。
見ていると魔力が漏れ出して獣みたいなオーラになってる。
和馬は和馬でネクタイの結び目を解こうとして……明らかに使う気満々だった。あの魔法を。
「もう帰っていいかな? オレが居てもどうしようもないだろ(というか見たくないんだが)」
「ん、それはそうね……ねぇ、せっかくだから私たちも戦ってみない?」
「はい?」
雪奈に聞いてみると何故か良い笑顔でそんな提案をされる。
どうしてそんな話になるのかと聞き返そうとしたが。
「くたばれぇ小娘ぇえええええええ!!」
「アンタがくたばりなさぁあああい!!」
血の気の多い二人の叫び声で見事にオレの問いかけは遮られた。
オレのはい?を承諾のはいと思ったようで、雪奈は良い笑顔のまま―――
「じゃあ、始めましょうか? 好きに魔法を使っていいわよ」
「ちょっと待――」
何故か幼馴染同士の対決を見ていたオレまで雪奈と戦うハメになってしまった。
おまけ キャストトーク
冬夜「進学していきなり何やってんのオレたちは(頭を抱える)」
雪奈「同じクラスメイトからしたらただの日常風景にしか見えないから大して驚いてないわよ」
愛華「中学の時から何度か来てたけどその度に挑まれた事もあったわね」
和馬「花蓮先輩が高等部に入った当初は、校舎の彼方此方に彼女に敗れた生徒がよく転がっていたぞ? 確か去年の保険委員の仕事は過去最多だったとか」
冬夜「バトルキャラが多過ぎだろ! あとうちの姉はたった一年で何をしたんだ!!」
バトル漫画みたいに挑んで来た相手を全員蹴散らしただけ。
ある意味、これも伝説であった。
◯作者コメント
朝も夜もすっかり寒いです。秋が全然見当たらない!
年末の雪が気になるところですが、もう開き直るしかないですね!
夏が暑過ぎて長かったので、冬は冬で嫌な予感しかしませんが、次回はいよいよ主人公もまともなバトル……になるかな?
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