第5話:とりあえず事情説明からだよね。

球太の家に居座った不思議ちゃん、シャルル。


シャルルが球太の部屋で一緒に寝るって言うので否応無しに二人はひとつ

の布団の取り合いをしながら朝を迎えた。

お互いがお互いの不満を抱えてるから間違ってもいいムードになんてなる

わけがない。


で、今回のシャルルのことで穏やかじゃないのは球太の親父と母親。

シャルルに無視されたこともあるし・・・。

どういうことか委細説明しろってことで、俺と不思議ちゃんは両親に

呼ばれて細やかな家族会議が開かれた。


まずは若い女の子をなんで家に連れ込んだのかってこと。


「どういうこと説明しなさい・・・彼女がいるなんて聞いてないけど」


「連れ込んだ訳じゃなくてだな・・・押しかけてきたんだよ、こいつが」


「自分の彼女のこと「こいつ」って言うな球太、パワハラだから」


シャルルが文句を言った。


「俺はクチが悪いんだよ・・・これが普通なの、慣れろ」


「あのね、こっちの話を優先させなさいよ、あなたたち」

「あなたたちの自由も尊重するけど、ちゃんと筋を通しなさいよ」


「分かってるって・・・でも俺だって正直と戸惑ってるんだ」

「こんなのが・・・この子がいきなり俺の前の現れて・・・」

「あ〜この子、シャルル・ド・ボークール・・・?なんだっけ?」


「ブリュット・・・シャルル・ド・ボークールだよ」


「だって・・・それにフランス人なんだってよ」


「フランス人?・・・どう見たって異星人よね、そんな顔色した地球人いないもん」

「まあいいわ・・・シャルルちゃんて言うの?よろしくね、球太の両親です」

「母親の「まどか」・・・でこっちが父親の「玉太たまた」」


「どうも〜シャルルちゃんですぅ」

「ご両親にちゃんと説明しないさいよ、球太」


「わ〜ってるよ」


俺はウソを事実みたいにまことしやかに語るのは苦手でド下手なんだ。

だから、目の当たりにしたことを親父と母親に語って聞かせるしかなかった。


案の定、親父もおふくろも信じるわけがないわけで、それこそ作りを話する

んじゃないって怒られた。


「シャルル、おまえもなんか言えよ」

「あのな、そもそもの原因はおまえにあるんだからな?」


「元の発端は球太でしょ?」


「だから〜俺は幼稚園の時のことなんか覚えてねえっつうの」


「おしっこ・・・」


「は?」


「おしっこ・・・私、昨夜の夜からトイレ行ってなくて・・・漏れちゃう」


「勝手に行ってこいよトイレ・・・話の腰折ってからにもう・・・」


「球太んちのトイレ、場所知らないんだもん」


「分かった、分かった、連れてってやるから・・・」


考えてみたらシャルルは俺んちの家のことはなにも知らないんだ・・・。


「ああ、面倒くさ・・・」


トイレから帰ってきたシャルル、今度は腹が減ったと言い出した。


「母ちゃん・・・なんか食いもんないか?」


「これから朝ごはんの支度するから、待たせておきなさいよ」

「球太、シャルルちゃんのことは、あんたがちゃんと面倒見なさいよ」


「じゃ〜不思議ちゃんをここに置いてもらえるのか?」


「出て行きなさいって言えないでしょ・・・さっきの幼稚園での話が本当

なら、あなたにも責任があるんだから・・・」

「ご飯もあんたが作ればいいのよ・・・身の回りのお世話もね」


つづく。


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