第3話:展開が早すぎるふたり。

「なによ不思議ちゃんって?」


「不思議ちゃんは不思議ちゃん・・・他に言いようがないから」


「ふん、なんでもいいから・・・責任とれ、球太」


「つうかさ、シャルル・・・おまえ、まじでエロリアンなんだよな?」


「うん、そうだよ幼稚園の時から知ってるでしょ」


「だったらフランス人だのイタリア人だのいい加減なこと言ってんじゃねえわ」

「だってフランス人なんだもん・・・もしかして日本人かも?」


「なことどうでもいいから責任とれよ」


「けどさ・・・責任ってって言ったって・・・」

「俺がシャルルのことをエロリアンって言っただけのことでなんで責任取らなきゃ

いけないんだよ」

「それってまじ言いがかりじゃん、しかもガキの頃の話って・・・」

「だいたい、そんなことで俺を追いかけて来るってほうがどうかしてるよ」


俺はシャルルと話しつつ、そのわずか数秒でシャルルの存在を打算的に考えた。

シャルルはウザいけど案外いい女・・・このさいお近かづきになっといても

いいかなって・・・。

しかもエロリアンだって言ってるし・・・もしそれがまじな話ならエロリアンが

彼女なんてめっちゃレアじゃん。


幼稚園の時に俺が彼女に何を言ったかなんて、どうでもいいことだけど

このさい責任取るふりして、下心満載でお近づきになるってのは?


今んところ俺、彼女もいないし・・・。


「球太、あんたが私がエロリアンってバラしたこともそうだけど私と結婚しよう

って言ったことの責任もあるんだからね」


「ほら、また訳分かんないこと言ってるし・・・」


「けっこん?・・・けっこんって、いきなり言われてもな」

「俺はそんなに軽々しく女に結婚しようなんて言わねえよ」

「だいたい男と女ってお互い好き同士になって愛が芽生えて、それからなんだ

そのエッチなんかして」

「で海の見えるチャペルでウエディングって段階を経て行くもんだろ?ふつう」


「そりゃまあ、シャルルみたいな可愛い子が俺の嫁ってラッキーってことなんだ

ろうけどさ」

「そんなに急がなくてもさ・・・とりあえず俺の彼女からはじめてみるって

ことでいいんじゃねえか?」


「まあ幼稚園の時、俺おまえのパンツ見てるみたいだし・・・その責任は

取るとしてもだよ」


どんな柄だったか覚えときゃよかった。


「パンツのことなんかどうでもいいの」

「あんたが私のことエロリアンってバラしたから、あの後から私みんなに

白い目で見られるようになったんだからね・・・」

「今と違って私の子ども頃はまだエロリアンに対して偏見があったんだから」

「だから私のバラ色のような楽しいはずだった人生を狂わせた責任取ってって

言ってるの」


「もし俺がおまえのことエロリアンってバラさなくても、みんなおまえの

顔見たら分かるだろ!!」


「なこと、ないわ!!ってことで今日から私、球太の家で暮らすからね」


「うぇっ・・・まじで?・・・押しかけ彼女かよ?」


どこからともなく現れたフランス人またはエロリアンな「シャルル・ド・ボークールブリュット」

その不思議ちゃんは強引に俺についてきて、でもって家に勝手に居座った。


つづく。


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