第10話

「昨日のこと、でしょ…?」


「分かってんのに何であんな事した?あんま、でしゃばったマネすんな。俺はお前に他の女と一緒にいる所を邪魔して良いと許可をした覚えはない。分かったんなら、もう二度とあんなことするな」



─── ズキンッ



「だって私たち一応、付き合ってるんだよね?だったら、私とも一緒にいる時間を作ってよ!!」


「あぁうぜぇ、マジでうぜぇ。そう言うのがあるから特定の女を作りたくねぇんだよ」


「……っ!!」



言い返したいのに、言葉が喉に突っかかって声が出ない。



「はぁ、もう良いや」



リクトくんはもう一度、舌打ちをして資料室を出ていった。



「じゃあ、どうやって好きにさせれば良いのよ…」



私は自分だけに聞こえる声で、そう言った。


なんかもう、どうでもよくなっちゃった。



「なんで私、アイツなんかのために頑張ってたんだろ。何もかもが無駄に思えてきた」



私は一瞬にして気持ちが冷め、それと同時に涙が溢れて止まらなかった。



─── キーンコーンカーンコーンッ



「あ、チャイムだ…」



私は必死に涙を止め、バレないように水で瞳を冷やした。

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