獣の成り上がり

なるとおかき

第1話

俺はしがない大学生だ。

常に人生を振り返っては後悔ばかりして、そのくせ何もせず1日を過ごす。

就職活動もろくにせずこのままではニートまっしぐらである。でも、どうにかなると思ってた今日までは。

両親が離婚し、親族との顔合わせもろくにしていない俺は大学も卒業直前ということで放置されもう頼るところもないお先真っ暗である。


どこから間違ってしまったのだろうか


小学生の頃はテキトーにしてても勉強も運動も校内で1番、両親もよく自慢してそれが当たり前だと思ってた。

中学はエリートの私立に進学しそこでもそこそこの成績を残していた。

だが、1番ではなくなっていった。

当たり前の話なのだ、ろくに勉強も運動もせずにそこそこ優秀だったため慢心しこいつらとはできが違う俺が本気出せば1番だと思っていた。


現実を見始めたのは中学後半である。

俺はだんだんと落ちていき、下から数えるのが早くなるのもそう時間がかからなかった。

高校に上がってからも過去の栄光が忘れられずプライドだけは1人前だったので誰かを見下し、上の者には言い訳ばかりで自分を満足させていた。だんだんとバカにされることが増えた。

言い返せない自分に腹が立ったがいつもなぁなぁにして、テキトーに過ごしていた。


大学は普通の大学に入った。

この頃はもうとっくにプライドもなく、平凡に生きていくと思っていた。

だが、想像以上に周りが輝いて見えたのだ。

普通だと思っていた友達が自分ができないことを当たり前のようにしているのだ。

これには心が折れた。プライドも何も無いと思っていたが、自然とまだ自分はやれば出来ると思っていたのだ、これまで何も努力もしてない自分がだ。

そこからは何も考えずぼーっと生きて現在にいたる。


「....はぁ、いつからこうなっちまったんだろ」


カッコつけて吸い始めたタバコを置きながらそう呟く。

無駄なのに考えてしまう。

こういう時は散歩にでも行こう。

夜道を歩いていると、遠くから犬の鳴き声のような音が聞こえてきた。特に珍しくもないのに何となくそっちに向かっていった。


「なにしてんだ?」


そこでは1匹の犬が茂みに向かってやたら吠えているだ。首輪が着いてるが飼い犬かな?

犬好きな俺は少し心配だったので近ずいてみるとそこには小さい恐竜のようなものがいた。


「なんだコイツ....」


初めて見た生き物に俺は呆然としていると急にその恐竜のようなものが犬に襲いかかったのだ。


危ないと思った俺はとっさにそいつと犬の間に入り、足で蹴飛ばした。


急に走ったので痛みを感じ、普段から運動をもっとしとけば良かったなと感じていた次の瞬間


「え?」


足がなくなっていた。喰われたのだそいつに。

痛みで叫ぶことも出来ず無我夢中で這いずりながら逃げようとした。


理不尽な状況に怒りも湧いてきた、こんなことでなぜ死んでしまいそうになっているんだ。こんなクソみたいな人生で終わって情けなくった。


いつの間にか目の前にそいつが立っていた。口を開いた。

俺の意識はそこで途絶えた。







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