第4話

夕暮れ時に、小さな町に着いた。


宿屋は三人部屋が一つしか空いていないようだ。


他には部屋は一つも空いておらず、一人は部屋のソファーで寝ることになった。


とりあえず部屋に入る。


「俺がソファーで寝るので。」


と、断りを入れると、


「ブラドさんは、ベッドで寝て下さい。ソファーでは、俺が寝ますので。」


と、ファリスさんが言った。


「いや、俺がソファーで寝ます。三人に同行させてもらってる身なので。」


「気にしなくていいですよ。俺は、どこででも寝られるので。一人の時は、木の上ででも寝てましたから。」


「木の上で?」


「はい。」


俺が聞き返すと、ファリスさんはニコリと微笑んだ。


「ブラド。ファリスの言葉に甘えればいい。旅に慣れてないだろうから、ベッドでちゃんと休んだ方がいい。」


「分かりました。ファリスさん、ありがとうございます。」


お礼を言うと、ファリスさんはまた微笑んだ。


一緒に旅を始めてから、ファリスさんの怒った所とか見たことがない。


未だに掴みきれない人だな。

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