第96話

「リースさん、ごめんなさい。私が来たばっかりに………………。」


ルミエルが謝ると、


「ううん。オレの方こそ、ごめん。巻き込んでしまって……………………。恐かったでしょ?」


リースは、ルミエルの方を見て答えた。


「少しだけ………………。でも、大丈夫です。私、父に剣術を習ってるんです。まだ、全然だけど。」


ニコリとルミエルは笑った。


「そうなんだね……………………。」


今にも泣きそうな顔の、リース。


「リース。自分を責めるな。」


俺の言葉に、リースは泣き出した。


「うぅぅぅ…………………………。オレ……………………全然ダメだ……………………。フィリップ王子に任されたのに……………………こんなことになっちゃった……………………。」


「リースさん……………………。」


どうして良いか、困り顔のルミエル。


「ルミエル、悪いけど席を外してくれるか?元気になったら、ルミエルに会いに行くから。」


「分かりました。私は家に戻ります。」


「あぁ、すまない。」


そうして、俺とリースだけになった。

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