第22話

私が意識を取り戻した時、病院のセロの隣のベッドに寝かされていた。


「私は……。」


「気がつきましたか?」


年配の女の医者に声をかけられた。


「!セロ……セロは!?」


医者に詰め寄ると、医者は首を振った。


「うぅぅぅぅ~……セロ………。」


夢じゃない………。


セロにしがみ付き、項垂れる。


「『あの場所』で…何があったのですか?あなたが、あそこの人達を…?」


「……私が……やりました……。」


セロにしがみ付いたまま、素直に認めた。


「そうですか………。」


私は体を起こし、セロの頬に触れる。


冷たい……。


「これから……どうするのですか?」


「………………。セロと………海に行きたい………。」


私がそう呟くと、


「分かりました。棺と棺を乗せる馬車を用意しましょう。セロさんが〝傷まない〟ようにも……。」


と、優しい声音の医者。


「なぜ……なぜ、私を捕まえないの?」


私は、たくさんの人間を殺したのに……。


「確かに…あなたは人を殺しました。命を助ける仕事をしている私は、あなたを許せません。でも……同情はします。このままこの町を去るのなら、あなたを止める者は、この町には誰もいません。少なからず、あなたの行為で助かった者もいますから…。」


「そうですか……。」


私はこのまま、どうなっていくのだろう……。


セロを失い、かたきを討っても罰せられず……。


未だに、私の目の前は暗いまま……。


そうして、町の人達により、馬車や棺を用意された。


私が馬車の御者席に座ると、町の人間は何も言わず、ただ静かに私を見送った。


私も何も言わず、馬車を走らせた。


休みもせず、海に向かって……。

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