第15話

セロが建物の中へ入ると、だだっ広い広間になっていた。


部屋の奥のソファーに、半裸にされたマニュがいた。


「剣を捨てろ!この女がどうなってもいいのか!?」


マニュは薬で動かない体を引っ張られ、首筋にナイフを押し当てられる。


「………マニュ。」


抵抗せず、剣を捨てるセロ。


「それでいい。こっちは仲間が30人もやられている。お前には、ここで死んでもらう。じっとしてろよ?少しでも動いたら…分かるな?女が代わりに死ぬことになるぜ?」


「…………うっ……セ……ロ……。」


まだ上手く話せない。


私が逃げないと、セロが…!


何とか体を動かそうとする。


「じっとしてろ!」


バシッと頬を叩かれ、床に倒れ込む。


「マニュ!」


「逃…げ…て……セ……ロ……。」


私は這ってセロの方に行こうとする。


「行かせねぇ。」


長い髪をグイッと引っ張られてしまう。


何とかセロの方を見ると、私のことを心配しているのが分かる。


セロは、自分自身が殺されることを全く恐れても、嘆いてもいない。


ただ…私のことだけを想っている瞳。


私とセロの視線が交わった瞬間……!


「さっさと男をやれ!」


周りの男達が……セロを切り裂いた。


「…………っ。」


セロは悲鳴一つ上げず、倒れ伏す。


倒れたセロの周りが真っ赤に染まっていく。


「あ……あ……セ……ロ……。」


誰か……誰か……セロを……セロを助けて………。


そこで私の意識は再びなくなった。

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