第9話
さっきとは違う通りを歩く二人。
「変異種、最近多くなったな。」
「そうね。こんなに人間の前に現れることはなかったのに……。」
「あぁ…。他の町に行ってる人間が戻るまでは、しっかり守ってやらないとな。」
「えぇ…。」
そうして残りの日々も、何度か変異種を退治して過ごしていると、剣を扱えると言っていた人間が戻って来た。
40代半ばの男だ。
佇まいで、確かにそこそこ剣が使えることが分かった。
「ありがとう。二人が町を守ってくれたんだね。」
「守るなんて、偉そうなことは言わない。ただ、宿代と食事代を出してもらって、のんびりさせてもらっただけだ。」
セロがそう言うと、男は微笑んで、
「ありがとう。」
と、一言礼を言った。
「それじゃぁ、俺達は行く。」
「どこに向かうんだ?」
「海が見える方へ行くつもりだ。」
「そうか……。途中、治安が悪い町がある。特にお嬢さんは気をつけてな。」
「えぇ、分かったわ。」
「こう見えて、マニュの剣の腕は一流だ。大丈夫だ。」
頷くマニュと違い、セロはそう言った。
「二人が凄腕の剣士だとは分かる。ただ……お嬢さんが、綺麗すぎる。」
「ナンパか?」
セロが眉をひそめると、
「そうじゃない。その治安が悪い町は、特に女が狙われる。それだけ綺麗だと、何をされるか心配だ。」
「そうか…気を付けるよ。」
「あぁ、気をつけてな。」
そうして、二人はその町を出た。
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