第8話

次の日、町の雑貨などを売っているお店にて。


「この髪飾り、マニュにピッタリだな。」


店の片隅に置かれていた、花の飾りのついた銀色の髪留め。


普段マニュは、長い髪を軽く一つに結んでいる。


その結び目の上から、髪留めを付けるセロ。


「おっ!やっぱり似合うな。」


「そう?」


マニュも鏡越しに見る。


「これ、もらうよ。」


セロは店の店員に声をかけると、お金を支払った。


「ありがとう、セロ。」


マニュはニコリと微笑んでお礼を言った。


そんなマニュを見て、セロも満足げな顔。


そうして、髪留めを付けたまま、町を回った。


しばらくすると、


「変異種だ~!来てくれ~!」


と、叫び声がした。


二人は声の方へと走る。


駆けつけると、狼の変異種が一匹暴れていた。


「狼の変異種か!マニュ、気をつけろよ!」


「えぇ!私が牽制するから、とどめはお願い!」


「分かった!」


二人は素早く動くと、狼を挟み込むように位置を取る。


シュッ!シュッ!


マニュが変異種を切りつける。


体の表面は切れるが、肉までは刃が届いていないようだ。


グォーー


変異種はマニュから逃げようとするが、


ザシュッ!


と、セロが変異種を真っ二つに切り裂いた。


「ありがとう!助かったよ!」


近くにいた男が礼を言う。


「宿代は働かないとな。」


「後始末はやっておくよ。」


「分かった、頼む。」


そうして、後始末を頼むと二人はその場を離れた。

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