第7話
それから数日は、何事もなく過ぎた。
二人は町を見て回り、夜になると宿屋に戻った。
夜ご飯を食べると、二人はベッドに寝転がる。
「今日も何もなかったな。」
「えぇ。平和でよかったわね。」
「あぁ。こんなに穏やかな日が続くのは、久しぶりだ。」
「ねぇ、セロ?」
「ん?何だ?」
「将来…どこかに住むなら、どんな所に住みたい?」
「う~ん、どこがいいかな~。」
「セロは寒い地域で育ったのよね?やっぱり、故郷に似た所がいい?」
「そうだな~。マニュと一緒なら、どこでもいいな……。まぁ、海が見える所もいいよな。」
「海の見える所……いいわね。」
「次は、海の見える町に向かおうか。少し距離があるけどな。」
「えぇ!」
「マニュ、おいで。」
と、仰向けに寝転んだセロが、マニュを呼ぶ。
マニュはセロに覆い被さると、キスをする。
「マニュ……愛してるよ。」
「私も愛してるわ、セロ。」
しばらく二人で抱き合っていると、セロは〝いつもの〟話をする。
「……もし俺が先に死んでも、後を追ったりするなよ?」
「また、その話?」
「あぁ……。」
セロは、よく〝この〟話をする。
どちらが先に死んでも、残った者は後を追わない、といった話。
「〝フラグ〟みたいで嫌よ。」
「でもな…。俺の両親も突然だった。残された者の辛さは、身に染みている。後を追おうとする気持ちも分かる。それでも俺は……マニュに長生きして欲しい。」
「セロが先に亡くなるつもりなの?」
「先に逝くつもりはない。でも、もしもの時は……な。」
「私がおばあちゃんになるまで、死なないでね…セロ…。」
「あぁ…そのつもりだ。愛しいマニュを置いていくのも嫌だからな。心配で心配で、死んでも死にきれないな…。」
「セロ……。」
マニュがセロに抱きつくと、セロもギュッと抱き締めた。
「愛しいマニュ。たくさん愛して、たくさん可愛がらないといけないな……。」
そうして、二人は愛し合う。
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