第6話

「きゃ~~!助けて~~!」


猪の変異種に追われた小さな女の子が、悲鳴を上げる。


ザシュッ!


セロは変異種を両断する。


「もう大丈夫だ。怪我はないか?」


「う、うん…。お兄ちゃん、強いんだね。」


女の子は、まだ怯えた顔をしている。


「あぁ、強いよ。だから、もう安心していい。」


と、セロは女の子の頭を優しく撫でる。


すると、ようやく女の子はニコリと微笑んだ。


「このお兄ちゃんも強いけど、私も強いわよ。」


マニュも剣を手に持ち、やって来た。


「お姉ちゃんも強いの?」


「そうよ。お兄ちゃんには負けちゃうけれどね。」


女の子の傍にかがむと、ニコリと微笑むマニュ。


するとそこへ、年配の男がやって来た。


「ありがとうございます。後処理はこちらでやりますので…。」


後処理とは、変異種は燃やして処分することになっているので、そのことを言う。


「あぁ、頼む。」


「あの…お二人がお急ぎでないのなら、二週間ほど…いえ…一週間でもいいので、町に滞在して頂けませんか?」


「理由は?」


「今、この町には、変異種を退治できる者がいません。剣を扱える者もいますが、今は他の町に使いで出ています。二週間ほどで戻って来るので、それまでお二人に居て頂きたいのです。」


「なるほど…。」


セロがマニュを見ると、マニュは頷いた。


「分かった。ただ、宿代と食事代を出してくれるならな。」


「はい!それぐらいなら、大丈夫です。」


「お兄ちゃん達、しばらくこの町にいるの?」


「あぁ、そうだよ。町の人が帰って来るまでだけどな。」


「よかった~。」


笑顔になる女の子の頭を、セロも微笑んでポンポンとする。


そうして、しばらくこの町に滞在することになった。

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