第3話

セロとマニュはその町を出ると、新しい町に向かった。


「最近、多いな……。」


セロが呟くと、マニュは頷く。


「ええ。」


「俺達の名前が売れてしまったのもあるけれど、いい加減…嫌になる。」


「そうね。名前を売ろうとしている訳ではないのに。」


「『英雄』と評判の〝ヒューイ〟なら狙われる理由は分かるけどな。」


「『英雄ヒューイ』……。まだ、15才くらいの子でしょ?」


「あぁ。魔法も使えて、凄腕の剣士らしい。人助けの旅をしてるらしいな。」


「凄いわね。」


「あぁ。まぁ、俺達とは違うな。」


「えぇ……。私達を狙っているのは、誰なのかしらね。」


さっきの男は暗殺者だ。


本人は気付かれていないと思っていたようだが、二人は気付いていた。


数日前から後をつけ、命を…というより、マニュを連れて行こうとしていた。


「あんな下っ端を使うくらいだ。今回は大した奴じゃないな。」


「私はただ、セロと世界を見て回りたいだけなのに。」


「あぁ、俺もさ。」


そうして日が暮れる頃、新しい町に着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る