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第92話

「…はい、はい、え⁉︎本当ですか⁉︎」


思わず出た大きな声に私は慌てて口を抑え、きょろきょろと辺りを見回した。


幸い閉店したばかりでお客さんはおらず、明日香さんは精算の為に銀行へ行ったばかりだった。


「そんな…どうすれば…」


頭が真っ白になるとはこのことだ。


管理会社から状況を長々と説明されたところで、私にはどうすることも出来ない。


『お部屋全体が浸水されてしまいましたので、壁や床、家具の修繕費用はこちらの方で負担致します。ただ、家電なんですが……洗濯機、掃除機、冷蔵庫など全て故障してしまっていて…』


仕事中、突然鳴ったスマホは管理会社からだった。


「上の階の水道管が破裂していて、その被害の確認の為、管理会社所有の合鍵で部屋に入る許可が欲しい」


という内容だった。


そんな大したことないだろうと甘く見ていた。


確認次第また改めて電話すると言われ、待っていたらこんな結果だ。

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