第93話

そういえば昨日、どこからか雨の雫が一滴ずつ落ちるような音がしていたような…


気のせいだと思っていたが、あれは気のせいでもなんでもなかったみたいだ。


上の階の住人は旅行中で不在、元栓の閉め忘れで凍結、破裂という説明を受けた。


『現在、上の階の方に連絡を取っていますが繋がらず…連日の強烈な寒波により凍ってしまったんだと思われます』


まだ寒すぎる季節には早いこの時期に、一週間ほどの真冬のような寒さが訪れた。


今は逆に暖冬で、薄いコートを羽織る程度で過ごせる。


「修繕はいつ頃になりそうですか?」


『修理業者が二週間ほど休みで、建物全体の修復にもなりますので恐らく、一ヶ月後になります』


「一ヶ月……」


その間ホテルに滞在しなければならない。


その費用も全て負担すると言われ、私は通話を切った。

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