第87話

「恐らく借用書を鵜呑みにせず、返さなかった為に殺されたのかと」


「だろうね」


林田組はその高い暴力性と攻撃性のおかげで最も危険な組でもある。


堅気なんてものは関係無い。


故に林田組の統治下にある区域は安全性の欠片も無ければ、薬や人身売買なども行われている。


「で?この件はこれで解決したんじゃないの?」


「それがですね…」


俺達の組の区域に入り、勝手な事件を起こしていること自体問題だ。


しかし俺は四季と少し似ていて、面倒事に首を突っ込む趣味はない。


今回は撃たれた男にも問題があったわけだし。


「どうやら、近いうちに同じような事件が起こるかもしれないという情報が入りまして」


「どこから?」


「警察庁長官からです」


林田からまだ金を借りた馬鹿がいるのか。


ヤクザの事件はよっぽどのことがない限りメディアに露出はされない。

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