第85話

「すみません…」


「いえ!夜も遅いですし、お腹も空いちゃいますよね。あ、良かったらこれ」


私は手に持っていたお弁当のおかずを渡した。


美憂は満足したのか、うとうとと目を細め、私が抱っこを変わるとそのまま寝てしまう。


「え、そんないいんですか」


「私ここのお弁当屋さんで働いてるんです。すごく美味しいので、良かったらぜひ」


結構重たいけど大丈夫かなと思ったけど、その心配は無さそうだ。


片手に楓君、もう片手に袋にパンパンに入ったおかずを軽々と持った。


「でも、もし晩御飯の準備とかされてるんでしたら…」


「いえ!これからスーパー行く間に、今日の献立考えなきゃと思ってたので、ありがたいです」


「かえで、はんばーぐがいい」


「ちゃんとあるよ〜。いっぱい食べてね」


一歳…もうすぐ二歳って言ってたよね。


美憂ももう少し経てばこれくらい喋れるようになるのか。


この短い間のやり取りで成長を感じてしまう。


保育園の外に出るまで会話しながら、家へと帰り着いた。

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