「理由はなんだ？若葉君のことだから何かあるんだろう。早退した時も"娘が"と言っていたし」

私と課長の狭間で揺れている。

部長は視線を行ったり来たりしながら、私に尋ねた。

部長はまだ若い。

今目の前にいる上司は、遥かに若い今の部長に先に昇進されて常に機嫌が悪かった。

横柄な態度と、部下へのパワハラは社内で有名な人だ。

「それは…」

言ってもいいんだろうか。

これから美憂を育てていく為にも、借金の為にも安定した収入が必要だ。

今ここで理由を言ってしまえば、事情は分かってもらえるかもしれない。

でも、また出勤前に仕事を片付け、忙しい残業続きの日々に戻れば、また余裕を無くすかもしれない。

借金取りの人達に私がこの会社にいることが知られたら？

これからも早退や突然の休みもあったりするだろう。

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