第41話

分かってるよぉ、そんな言わなくたって。


酒は飲んでも呑まれるな、なんてよく言うけど、今楽しければどうでもいいや。


このふわふわした夢心地に便乗して、私の口は止まらない。


「落ちてないかなぁ。5000枚ぐらい、こう…ひらひらと舞う…」


「何よ、ゴミ?紙切れ?早川が作成した使い物にならない資料のシュレッダーにかけたゴミ?」


「そうそう、使い物にならな…って、おいまさかお前。俺が徹夜でまとめた資料、シュレッダーにかけたんか⁉︎」


「違うよ〜。諭吉さん5000枚のこと」


「あんた一体何があったのよ」


「……」


「寝・る・な!」


「待って、俺の残業と徹夜の結晶、本当に燃えるゴミと化したのか…?」


次から次へと運ばれる料理をつまみながら、スマホで時刻を確認する。


まだ二時間ちょっとしか経ってないんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る