第39話

「そういえば旦那はどうしたのよ」


ジュースみたいなお酒しか飲めないとは言っても、何杯も飲めば流石に酔いが回る。


お酒に強い春も、頬がほんのり赤く染まっていた。


「んーとね、えーとね」


シラフなら口篭って言えなかったかもしれない。


楽しい場を暗い雰囲気に変えてしまうし、何より気を遣われるのが一番苦手だから。


でも今は、久しぶりのアルコールに溺れて、何でも言える気がする。


「離婚した」


「…はぁ⁉︎聞いてないんだけど⁉︎」


ジョッキが割れる勢いで春はテーブルに置いた。


いや、実際ヒビが入ってしまっている。


ポタポタと隙間から漏れるビールを拭きながら、花奏君は「すいませーん」と声を上げた。


「今言った…」


「不倫の証拠は?ちゃんと突きつけて離婚したんでしょうね?慰謝料は?裁判は?」


「そうだぞ〜。結構どクズ野郎だったじゃん、あのカス」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る