第34話

「ゔぅ…ふぇ」


「…え?」


いけない、一瞬意識がトリップしかけた。


時間を確認すると、残り二分いや、一分になった。


終わらせた最後のデータを確認して、ギリギリ退社時間までに間に合った。


「終わった…」


「うぁ、ふぇ」


ミルクはトリップしかける前に飲ませたし、体温も測った。


オムツも替えたし、着替えもさせた。


瞼が閉じかけた時、空気が割れんばかりの泣き声が響いた。


けたたましいサイレンなんか比じゃない。


「よしよし、どうしたの?」


何が不満なのか分からない。


お気に入りのおしゃぶりを渡しても投げ飛ばされ、ミルクを急いで作って飲ませても口から吐き出すだけだった。


どんなにあやしても、抱っこしても、全て気に食わないようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る