第31話
「……お迎え今から行きます」
『大丈夫ですか?今すごくお忙しいって…』
「大丈夫です。何とかします」
電話を切って、真っ先に部長の元へと向かった。
「部長、あの」
「お、新規プロジェクト参加する気になったか?」
「早退させて下さい!」
口をポカンとあけた部長に、私は踵を返した。
他の社員も、何を言ってるんだと言うような目でこちらを見ている。
「待て待て、どうしたんだ」
カバンに荷物を詰め込んでいると、焦ったように部長が来る。
理由を話す前に立ち去ろうと思ったけど、上手くいくわけがない。
あれこれ頭の中で考えを練っているうちに、どんどん注目を浴びていく。
「っ…!娘が、熱出しました!失礼します」
「おいっ、ちょっ、娘⁉︎」
カバンとノートパソコンを抱きかかえ、私はエレベーターへと走った。
ここは大企業なだけあって何十階もある一棟地のビルだ。
よりによって今最上階に留まっている。
階段を駆け降りた方が早い。
ピンヒールが折れても構わないと、とにかく走って会社を出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます