第30話

「え⁉︎」


思ったより大きな声が出て、慌てて誰もいないことを確認する。


今朝の様子は何も変わらなかったはず。


いつもよりミルクを飲む量が少なかったぐらいで……


そういえば夜泣きが随分と激しかった気がする。


それで疲れて、あまり食欲が無いのかと勝手に判断していた。


大人にとっては些細な出来事でも、赤ちゃんは免疫力も無いからそんなこと言ってられない。


『でも今お仕事中ですよね?このまま熱が上がっていくのも心配で、今日の診療時間内に受診できるのなら、それが一番だと思って』


「はい…」


今抜け出したらどうなるかなんて目に見えてる。


迫り来る選択に、その場でしゃがみこんだ。


どうしたら良いのか分からない。

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