第29話
言い返す力もない。
呆然とその後ろ姿を送り出し、また書類へと向き直った。
脅しのつもりで全部今日中と言ったんだろうけど、ザッと見る限りそうじゃないのもある。
あの借金取りの人達に比べたら可愛い脅しだ。
先ずは期限ごとに仕分けしていこう。
雪崩が起きないように、そっと手をかけた時、スマホがポケットの中で震えた。
『リズム保育園』と着信名が表示されている。
私は辺りを見回して、ここを出てすぐある廊下へと向かった。
「もしもし、お世話になっております」
『あ、美憂ちゃんのお姉さんですか?リズム保育園の上田です』
保育園には軽く事情を説明してある。
両親がおらず、私も仕事でお迎えがギリギリになってしまうことも。
上田さんは、閉園時間ちょっと過ぎるぐらいは大丈夫ですよと、快く言ってくれた優しい保育士さんだ。
「どうかしましたか?」
『美憂ちゃん、少しお熱があるみたいで、念の為病院に連れて行かれた方がいいかと思いまして…』
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