第26話

「部長、すみません。ご用件とは」


「再来月の新企画プロジェクトなんだが」


マル秘と書かれた、束になった書類を机に置かれた。


そういえば今日の朝礼会議で、大きいプロジェクトがあるって話していたっけ。


まだ新卒一年目の私には任されない仕事だろうと思って、碌に聞いていなかった。


「その一員に若葉君を入れようと思う」


「え?」


まさかの相談だった。


てっきり有給は前もって言うようにと、注意を受けるかもしれないと思っていたから。


でも、これに参加すれば任される仕事も増えて、生活もある程度安定するかもしれない。


莫大な借金と美憂の養育費、そして自分の生活費…


天秤にかけるまでも無い。


「もちろん、やらせていただき…」


開きかけた口が止まった。


普段なら即答できるはずの答えが、私にストップをかけている。


帰りは?きっと遅くなる。


24時間体制の保育園じゃないし、何より一日の大半を一人にさせてしまう。

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