第23話
「きゃぁ、ぅうー」
「見つけたよ〜美憂」
母子手帳を掲げて、こちょこちょと脇腹をくすぐってあげれば、楽しそうにキャッキャッと笑った。
「美梨亜ちゃんは学校終わりに来てくれるから、そろそろかな」
時計を確認して、お茶の準備を始めた。
子供用のお菓子も買っておいた。気に入ってくれるといいんだけど。
一息吐こうと、先に淹れたコーヒーを、一口飲み込んだ。
母はいつ妊娠に気が付いたんだろう。
ふと、頭をよぎった。
親から連絡なんて、一年に一回あればいい方だった。
育ててやったんだからと、仕送りを条件に中学に上がると同時に私は家を出た。
その一回というのも、少し仕送りが遅れた時に早く振り込むように催促の電話だった。
親が子供にするような、何気ない会話や心配のメールなんてされたことがない。
学生時代は勉強とバイトの掛け持ちで休む暇なんてなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます