第23話

「きゃぁ、ぅうー」


「見つけたよ〜美憂」


母子手帳を掲げて、こちょこちょと脇腹をくすぐってあげれば、楽しそうにキャッキャッと笑った。


「美梨亜ちゃんは学校終わりに来てくれるから、そろそろかな」


時計を確認して、お茶の準備を始めた。


子供用のお菓子も買っておいた。気に入ってくれるといいんだけど。


一息吐こうと、先に淹れたコーヒーを、一口飲み込んだ。


母はいつ妊娠に気が付いたんだろう。


ふと、頭をよぎった。


親から連絡なんて、一年に一回あればいい方だった。


育ててやったんだからと、仕送りを条件に中学に上がると同時に私は家を出た。


その一回というのも、少し仕送りが遅れた時に早く振り込むように催促の電話だった。


親が子供にするような、何気ない会話や心配のメールなんてされたことがない。


学生時代は勉強とバイトの掛け持ちで休む暇なんてなかった。

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